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【書籍化決定】セブンスソード  作者: 奏 せいや
エピローグ
345/496

みんな、援護を頼む!

 フェニックスと融合したこと。それに千歌は自傷気味に笑う。


「融合したことで魂の容量がだいぶ圧迫されたけどね。今でもたまに出てこようとするから油断ならないわ。でも、最後は私の意思が勝つ」


 内側から表に出てこようとするフェニックスとそれを抑えつける千歌の意思。それは精神力のせめぎ合いではあるが、上級悪魔にも勝るとは。


 彼女の覚悟とは、それほどまでに強いのか。


「ねえどうすんのよ、あの不死鳥を取り込んだやつに勝てる手段なんてあるの?」


 リトリィが聞いてくる問いに誰も答えられない。殺す手段がない不死身の悪魔だからこそ不死鳥フェニックスなのだ。それを攻略する方法なんて早々あるものじゃない。


「そうだズラ!」


 そこでなにか思いついたのかポクが大声を出す。


「ヲー、これを使うズラ」

「それは?」


 ポクは紫の液体が入った瓶をヲーに手渡す。


「アスタロトの臭いで作った霊薬だズラ」

「げえー! あんたそんなの作ってたわけ? マジ趣味悪いんだけど」

「違うズラ! あの臭いはオイラだって嫌いズラ! そうじゃなくて」


 リトリィの反応はその通りなのだがこれはそんなものではない。


「臭いから抽出した成分を霊薬として精製したズラ。これが体内に入ると神経がやられて体が動かなくなるズラ。要は神経系の猛毒だズラ!」

「でかした!」


 中身はかなり少ない。どのみち一回分だ。ヲーは瓶のふたを槍で切り裂き液体を矛にかける。それにより紫のオーラが刃を覆う。


「アスタロトの霊薬……」


 ヲーは槍を構える。これなら殺すことは出来なくても動きを止めることができる。


「いかん! 千歌様をお守りしろ!」


 これには静観していた部下たちも動き出す。なにをしても倒されることのなかった不死王だがあの槍を通すわけにはいかない。


「みんな、援護を頼む!」

「了解だズラ!」

「一発ぶち込んでやれ!」


 勝機が見えた。この勝負、ヲーの槍を千歌に刺せるかどうか。その一点が勝利の鍵だ。


 不死王軍が襲いかかってくる。千歌の横を通り一斉に迫ってきた。


 対してガイグンが戦陣を切る。ヲーを進ませるための露払いだ。巨体の突進がラミアやコロポックルをボーリングのように吹き飛ばしていく。


 だが千歌も黙っていない。圧縮された熱線を放とうと手を向けてくる。


「デューク!」


 それをリトリィが妨害、熱線はガイグンの僅か横を通りなお前進する。


 宙を飛ぶ悪魔はリトリィの呪文で押さえ込んでいる。ヲーはガイグンの背に乗り接近する。自身も不死王軍の悪魔を切り裂きながら千歌に近づき宙を飛んだ。千歌はデュークを払い終えるが遅い。


「もらった!」


 ヲーが槍を突き刺す。千歌は咄嗟に右腕を構え刃が彼女の腕を突き刺す。


「やった!」


 直撃だ。ヲーは急いで間合いを離れ千歌から距離を置きガイグンの隣に立った。


「千歌様!」


 千歌は右腕をぶらんと下げている。なんとか持ち上げようとしているが少しだけ上がったところで落ちてしまう。毒が効いている証拠だ。このままいけば腕だけでなく全身も動かなくなるはず。


 すると千歌は左腕で右肩を掴む。


 そして、


「ふん!」


 自分の左腕を、引きちぎった。


 自分の腕を放り捨てる。腕は地面に落ちると燃えさかり炎となって消えていった。さらに千歌の右肩からは炎が勢いよく吹き出る。例えるなら強力なバーナーの火のようだ。その勢いが収まり消えていくとそこには新しい腕が生えていた


 千歌は腕を軽く振るい手を開閉している。問題ない。一瞬で欠損した腕をまるまる再生したのだ。


「患部が切り離されたズラ!」

「となると」

「頭部だな」

「ああ」


 ヲーが刺したアスタロトの猛毒も患部ごと切り離されてしまえば全身に回らない。ならば狙うのはそれが出来ない部位だ。


 千歌が再び浮遊してから熱線で攻撃してくる。両手から繰り出される熱線が道路のアスファルトを一瞬で蒸発させ液体に変えていく。


 二本のレーザーを駆たちはかい潜っていく。リトリィは器用に飛んでかわし駆は反射のマントで守っていく。


 千歌の熱線が走る。ガイグンの巨体ではかわすことが出来ず当たってしまう。

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