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【書籍化決定】セブンスソード  作者: 奏 せいや
第四章 人類の果て
33/103

白い援軍

「ぬう!」


 敵の背後から放たれた光線が命中する。仮面の男はなんとか槍で受けるも勢いに押され、地面に膝を突き後ろにいる人物を睨みつけた。


「ごめんごめん、遅刻しちゃった」


 緊張した戦いの場面にまるで学校に出遅れたくらいの雰囲気で声が聞こえてくる。

 そこにいた白い女性に目を奪われた。


「でも頑張って敵の大部隊足止めしてたんだから許してくれるよね? 聖治さん」


 白色の長い髪に胸元が開いた全体的に白い服。部分的にピンクをあしらったその女性の手には白いスパーダである聖王剣ミリオットが握られていた。

 そのスパーダを持っている人は一人しかいない。


「もしかして、日向ちゃんか?」


 そう言うと彼女はにっと笑いピースした。


「あったり~」


 その仕草と明るさ、変わっていない。


 安神日向。俺が知っているのは一つ年下の女の子だったけどそれに比べて背が伸びている。体つきも大人っぽくなって服装のせいもあって目のやり場に困る。なのに浮かべる笑顔は少女のようだ。


「聖治さんマジ久しぶりじゃん。てか変わってないよね、当たり前だけど。なんか時間の流れを感じるから複雑だなー」

「いや、日向ちゃんは今もすごく魅力的だし、そんな心配する必要ないと思うけど」

「本当に!? もーう、聖治さんやっさしー」


 この時代でも彼女は変わらない。それがなんだか懐かしくてなによりも嬉しく思う。

 こんな時代でも彼女は変わっていない。それにすごく安心感を覚えた。


「聖治さんが目を覚ますのずっと待ってたんだからね」

「ごめん。もっと早く目が覚めるべきだったのに」

「いいよ、こうしてここに来てくれたんだもん。っと、いろいろ話したいことはあるんだけど」


 日向ちゃんが俺の前に立つ。ミリオットで肩を叩き揚々と目の前の仮面男に振り返った。


「私ヘビとかトカゲとかマジムリなんだけど。どっか行くか死んでくれない?」

「ずいぶん口の悪い女だな」


 仮面男も立ち上がる。不意打ちをくらったものの目立った傷はない。腕を切られてもこうして動いているし生命力がやはり人間とは大きく違う。


「使命あってここにいる。退くわけにはいかん」

「逃げないの? 別に戦いたいならそれでもいいけど、ボコボコだよ?」


 仮面男の戦意もすごいが日向ちゃんも負けていない。自信に溢れ堂々としている。


「腕を失った槍なんてできる範囲だいぶ狭いでしょ。言っておくけど手加減なんてしないし必ずぶち殺すから」


 なんか、すげー心強いな。


「ん?」


 その時遠くの空から音が聞こえてきた。見れば黒い霧のようなものが浮かんでいる。


「いや、違う」


 あれは、悪魔の群だ。それに十や二十じゃない。百ちかくいるぞ!


「ち」


 日向ちゃんが舌打ちする。さっき大部隊を足止めしていたと言っていたがあれのことか?


「しつこいのは嫌なんだけど!」


 ミリオットに光が集う。刀身が帯電しているかのように白い光が放電していき、日向ちゃんは悪魔の群に向け撃ち放った。


「ミリオットォオオオ!」

「ぬわあ!」


 それは極大の光線だった。反動が空気を震わし光に目が焼かれそうだ。それは空を一閃し悪魔の大群を焼き払っていった。

 すごい。ミリオットの属性は強化と増幅。これほどの攻撃をするためにはかなりの溜めが必要なはずなのに。ミリオットの練度なら間違いなく俺を超えている。


「日向ちゃん前!」


 そこへ仮面男が襲い掛かる。一瞬の隙も見逃さない。 


 日向ちゃんもそれは読んでおりすぐに正面を向き光線を放った。レーザー銃のような細い光が仮面男に放たれるが、仮面男は尻尾で地面を蹴り宙を駆けながら無理矢理軌道を変えてくる。


 そのまま間合いに入り槍を突き出してきた。片手を伸ばした構えの日向ちゃんでは防御が間に合わない。


 それを、日向ちゃんは取り出した赤い剣で防いでいた。


 突然現れたもう一本の剣に仮面の男も驚く。日向ちゃんは白と赤の二刀流で攻撃し仮面男は防戦一方だ。体制を整えるため距離を取る。


 悪魔の攻撃を防いだ。それだけでなく互角以上に打ち合っている。女性の日向ちゃんでもそれが出来たのはミリオットの能力、自身の強化を発動していたからだ。

 しかしそのためにはスパーダを二本以上持っていなければならない。


 その一つ。赤い剣が握られている。


 日向ちゃんが取り出した赤い刀身の剣。ミリオットと色違いの魔剣。至紅剣カリギュラ。そのスパーダは本来此方のものだ。


「カリギュラ……?」


 じゃあ、此方は……。その事実に体中の熱が引いていく。


 日向ちゃんは振り返ることなく仮面男を正面にとらえている。その中でカリギュラを持ち上げ刀身を見つめた。


「まったく。大切な人を守りたくてもその時になったら使えないなんて。本当にお姉ちゃんは不器用で扱いづらいんだから。まあ、それが可愛いところでもあるんだけどさ」


 その口調はまるで世間話のようだ。此方は亡くなった。もうこの世にはいない。なのに彼女の話し方にはそんな悲壮感は感じない。


「日向ちゃん」

「うん。お姉ちゃんは私を守ってさきに逝っちゃった。私の望みはずっと一緒にいることだったのに、分からず屋なんだよなー、お姉ちゃんは」

「日向ちゃん!」


 彼女は明るく言うがそんなはずがない。彼女を一番慕っていた日向ちゃんが最も悲しいはずなんだ。此方が亡くなって、彼女がどれだけ辛かったか、俺には想像もできない。


「お姉ちゃんはね、信じてたんだ」

「信じてた?」


 その日向ちゃんが、悲しみを乗り越えて戦っているんだ。


「いつか聖治さんが目を覚まして、この世界を変えてくれるって」


 日向ちゃんは横顔だけを俺に向け、口元を持ち上げた。


「かっこいいところ見せてよね、聖治さん」


 笑ってそう言う彼女に俺は頷く。彼女の隣に立ちスパーダを構えた。彼女と一緒に戦える、仲間がいる。それだけでなんて勇気がもらえるんだろう。

 俺たちは仮面男と対峙した。こちらが有利、ここで一気に決めてやる!


「間に合ったか」


 が、仮面男がつぶやくと同時、彼の背後に黒い空間が現れた。そこから赤髪の女悪魔とピクシー、小人が現れる。


「あれれ~? なんか増えてるじゃん。一匹見かけたら他にもいると思えって? ゴキブリじゃん」


 くそ。空間転移の能力でこいつらまで。犬だけ本部に残して他はこっちに来たのか。


「じゃあ駆除しちゃおっか。地上から消えな、ゴミが」

「日向ちゃん、あいつに星都が」

「ふ~ん」


 仮面男は敵だがまだ性格的にいい。だがこいつは駄目だ、いちいちイラつく。挑発なのか素なのか分からないがどうしても神経を逆撫でされる。今だって星都の仇を取りたくてすぐにでも斬りかかりたくなるほどだ。


「聖治さんが持ってるから察してはいたけど。いったいどんな悪魔にやられたのかと思ったら」


 だけど日向ちゃんは動じていない。それどころか笑みすら浮かべる余裕はまさに。


「なーんだ、弱そうじゃん」


 歴戦の猛者。この未来において最前線を戦い抜いた剣士なんだと教えてくれた。


「はあ? ふざけんなよてめえ!」


 それが戦闘の合図になった。ピクシーは悪魔銃を取り出し背後の銃口から赤い光弾を撃ち出してくる。それも空を飛びながらという厄介さだ。


「ふざけてんのはアンタの方でしょチビ!」


 だが日向ちゃんだってミリオットの光線で対空砲火を連続で撃ち出している。白と赤の光が交差していった。


 二人が戦う中、俺は仮面男の突きをエンデュラスの加速で躱しグランを打ち付ける。すでにバフをもらっている仮面男の力はすさまじいがグランを使って負けてたまるか。


 日向ちゃんは強化した身体能力でジャンプし直接斬りかかるもピクシーは後退しながら銃を撃ちまくる。その全てを見切り斬っていく日向ちゃんはすごい。


 だが背後に黒い空間が出現すると赤い女が現れた。爪が短刀のように伸びそれを突き刺してくる。空中で身動きが取れずさらに挟撃。逃げることも防ぐことも不可能。


 だけどこれこそが日向ちゃんの狙いだった。


「カリギュラぁあ!」


 空中で広がる赤いオーラが周囲を包み込む。それはピクシーたちを飲み込む範囲だが地上にまでは届いていない。敵だけを狙い撃ったんだ。


 だが敵も強い。赤い悪魔はカリギュラを見るなり黒い空間を作ってそこに姿を消し地上に現れる。ピクシーも黒い空間に消え一緒に地上へと逃げていた。

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