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【書籍化決定】セブンスソード  作者: 奏 せいや
エピローグ
301/496

今日のメイクは情熱的にね

「ねーねーねー、どうせこいつこの場所から動けないんでしょ? ならさっさと逃げ出しちゃおうよぉ。私もうこいつの口見たくないんだけど」


 リトリィの言うとおりだ、避けられる戦闘なら避けた方が良い。


「ちょっと待つズラ! こいつは危険な魔界植物だけどその根から取れるエキスを使えば回復薬が作れるズラ!」

「回復する前に食べられちゃったら意味ないんだけど!」

「お前はいっそ食べられてしまえズラ!」

「なんですって!?」

「マスター、どうする?」7


 戦うのは避けたいところだが回復薬の生成は魅力的だ。現在パーティにはアタッカーやサポーターは充実しているがヒーラーはいない。回復手段は重要だ。これから先で待ち受ける戦いで必要になってくるはず。


 なにより、これから二人と戦おうというのにこれくらい倒せなければ勝てるはずがない。リスクを取ってここは攻める。


 駆は左手を掲げる。視線は捕食植物ラフレイオンを真っ直ぐ見つめ、そのまま左手を倒し敵を指さした。


 戦闘の号令だ。


「承知!」

「も~う、結局やるわけ?」

「今後のための大事な戦いだズラ!」


 ラフレイオンとの戦い。まずはヲーが地面を蹴り槍を突き立てる。刃は茎に見事命中するがラフレイオンに反応はない。


 その隙にツルがヲーの体を捕まえる。


 植物というと大人しいというイメージがある。実際そうではあるし目立って動くものではない。では植物は弱いのかと聞かれればそれは違う。


 人間と同じサイズならば最強の生物は昆虫だという。その重量と体の堅牢さは人の肉体では持ち上げることも傷つけることも困難だ。


 では、人と同じように動けるならどの生物だろう。


 僅か一センチか二センチの根がアスファルトを持ち上げる。表皮は固く柔軟性に富んだものもある。そんな生物が人と同じ速度でストレートを放ってきたら? 人体ではひとたまりも無い。

 身体的強度でいえば、最強生物は植物だ。


「ぬう!」


 全身をツルに拘束されヲーの動きが封じられる。彼も人より優れた力を持つがそれでも抜け出せない。それどころか骨を折られそうだ。ラフレイオンは花弁を大きく広げヲーに食べ掛かる。

 その寸前で駆はクイック・サモンを発動。ヲーを消し再度出現させる。


「かたじけない。言っていた私が油断するとは」


 ヲーの槍を受けて怯むどころか無視して拘束してくる耐久性。正確には油断を突かれたのではなく予想を上回ってきた。


 ラフレイオンはさらにツルを伸ばし駆たちを捕食しようとしてくる。なんとかそれを回避する。


「目がない相手とか私どうすればいいわけ!?」


 リトリィが空を飛び回りながらツルを躱していくが打つ手がない。


「まずはあのツルを切り落としていかねば接近戦は無理だ」


 駆もなんとかしたいがやれることは少ない。


「どれだけ強くても所詮は植物だズラ。それならこれでもくらえズラ!」


 そこでポクが取り出した瓶を投げつける。ケルベロス戦でも使った火炎攻撃だ。花相手ならまさに特攻、これ以上にない相性だ。


 蓋の外れた瓶からは赤い液体が漏れながら放物線を描きラフレイオンに向かっていく。


 が、ラフメイオンのツルはそれを空中でキャッチし明後日の方向へと捨ててしまった。


「そんなあ!」


 植物らしからぬ器用さで瓶を放り捨て僅かに掛かった炎も地面に伸びた葉で払われてしまう。せっかくの炎攻撃もこれでは意味がない。


「オイラの攻撃が……」


 不発に終わってしまいポクが落ち込む。


「ちょい待ち!」


 そこでリトリィが叫ぶ。


「そういうことなら私にアイディアがあるわ。今のもう一度用意して」


 ポクは言われるがままに瓶を用意する。


 リトリィは近寄り手をかざすと魔方陣が現れ、液体が浮かび上がり始めた。液体は発火し激しく燃えている。


「そこの兄さん、槍貸して!」


 意図を察したヲーが矛先を彼女に向ける。リトリィは炎を操り魔方陣ごと刃に移る。


「今日のメイクは情熱的にね」


 ヲーが槍を振るう。刃は炎をまとい燃えさかっている。


 エンチャント付与。これでヲーの攻撃は炎属性を得た。


「マスター援護を!」

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