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【書籍化決定】セブンスソード  作者: 奏 せいや
エピローグ
227/496

俺は、悪魔に魂を売った男だ

 此方なりに説得しようとするのだが通じない。彼の抱く決意は固く、覚悟は揺れない。


「君は正しい。真っ直ぐだ。なにより強い。今までいろいろな困難を乗り越えてきたんだろう」


 彼からの賛辞。けれど表情は変わらず敵意を送る。


「だが俺は違う。間違いだろうが悪だろうが構わない。忘れたか?」


 律は片腕を持ち上げ胸の前で止める。彼の構え。彼が宿している戦意が勢いよく燃え上がる。


「俺は、悪魔に魂を売った男だ」


 瞬間、世界から人が消え失せた。


 四人を通り過ぎていく人々はすべていなくなり道路を走っていた車もいない。世界は不気味な赤い空に包まれる。


「これは?」


「リンボの中?」


 地上と魔界の境界。四人は別世界へと転移していた。


「お前たちには悪いが、これが俺のやり方だ。死んでくれ」


 男の言葉の後彼の周囲に魔法陣がいくつも現れる。描かれ形を露わにしていき、そこから光が溢れる。


「俺はライフを5払い、デモ・デモンズゲートをセッティング。来い!」


 光から影が現れる。人型だが翼を持つシルエットが魔法陣と同じ数だけ現れる。


「やるしかないわね」


 相手はやる気だ。譲れないものがある者同士説得は不可能。


 戦うしかない。此方と日向、香織もそれが分かっていたから手を伸ばす。己の内に宿る力を呼び起こす。


「来い、スパーダ!」


 三人の少女と一人の男。かけ声は重なり開戦の始まりを告げた。


「カリギュラ!」


「ミリオット!」


「ディンドラン!」


「俺の悪魔たちよ!」


 魔法陣から飛び出す悪魔たち。全身が黒い体表をしており赤い瞳を向け三人に襲いかかる。翼を広げ鋭い爪を向けてきた。


「カリギュラ!」


 此方はカリギュラを発動する。赤い刀身を黒いオーラが包みそれを振るうことで前方にオーラを展開、それに触れた悪魔は動きがにぶりその隙に切りつけた。カリギュラはすぐに停止してオーラは消える。


「ミリオット!」


 日向ちゃんは襲い来る悪魔たちに光線を撃ち撃墜していく。


「ディンドラン!」


 香織は敵の攻撃をピンクのバリアで弾き体勢が崩れた体を一閃する。それにより悪魔の体は黒い灰となって消えていった。


 それで全滅。出てきた悪魔は三人の前に成す術なく消えていく。


「まだだ!」


 だが戦いはまだ序章、これで終わったわけではない。丸々は第二波を用意する。


「俺はライフを5払い、この悪魔を呼び寄せる」


 丸々の背後、そこに浮かび上がるのはさきほどよりもなお巨大な魔法陣。体に突き刺さる威圧感がまるで違う。さっきまでの下級悪魔などではない。


「魔界の空を駆ける疾風、狩猟の定めの往くままに、地上の敵を打ち払え!」


 律のかけ声に応じ漆黒の翼が飛び出した。


「現れろ! アサルト・ワイバーン!」


 赤い魔法陣を突き破り現代に現れる翼竜が三人に向け咆哮を上げる。強烈な音と息が三人の髪を揺らした。


「こいつは?」


 香織は初めて見るタイプだ。悪魔召喚師が召喚するのだから悪魔ばかりと思いがちだがこれは魔界の怪物だ。悪魔に違いはないが形状がまるで違う。


「気を付けて、さっきとは違うわよ」


「了解!」


 反対に此方と日向はこいつと対峙するのは二度目だ。その強さも実感済み。


「顔が知られている以上、今回は逃げたりしない。ここで決着を付ける」


「上等よ。誰かが犠牲になる前にここで終わらせるわ」


 三人はスパーダを構える。対して律も表情をさらに引き締め、上空で浮遊するアサルト・ワイバーンが叫び声で威嚇する。


「…………」


「…………」


 互いににらみ合う。無言の内で気迫と戦意をぶつけ合う。


 第二ラウンドの始まりだ。


「行け、アサルト・ワイバーン! 敵を殲滅しろ!」


 主人の命に悪魔が叫ぶ。全長五メートルはある翼を広げ駆ける様は海中を泳ぐ巨大なエイのようだ。だがその速度はツバメと変わらない。


「来るわ!」

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