表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】セブンスソード  作者: 奏 せいや
135/499

23

 三体の悪魔が迫る、間に合わない!


『なにをしている』

「?」


 声が聞こえる。誰だ? 年老いた男の声だ。すぐに涙を拭き辺りを見渡すが姿は見えない。その声に彼女が反応し悪魔も動きを止める。もう少しでやられていたが三体は下がっていた。


『ここは退け。無闇に使うものではないとお前も知っているはずだ』

「だからといっていきなり本番なんて危険でしょ。勝手ぐらい知っておかないと」


 姿の見えない声に彼女が応える。


『ならばなおさらだ。これ以上は余計な出費を払いかねない』

「…………」


 彼女としてはもう少しで俺を倒せていたんだ。簡単には諦められない。


『命を粗末にするな』


 だが声の言うことに諦めたように鼻を鳴らした。


「ふん。あんたにそれを言われちゃうとね」


 彼女は片手を上げると悪魔の足下に魔方陣が現れ悪魔たちは消えていく。どうやら終わったようだ。


 彼女は不満そうに俺を見る。


「どうも私の相棒はお人好しでね。良かったわね」

「待て、お前はいったい!」


 彼女はそう言うと踵を返す。行かせるかと呼び止めるが世界が歪む。赤い世界が大きく波打つと元の世界に戻っていた。そこに彼女の姿はいない。


「くそ」


 すぐにスパーダを消す。逃げられたか。


 俺は今悪魔召喚師と出会い、戦った。それに彼女はこれからなにかするつもりだ。その練習として俺と戦っていたんだ。


 俺の知らないところでなにか大きなことが起こり始めようとしている。こうしてはいられない。

 ポケットからスマホを取り出し通話画面を開く。そこには香織の番号が表示されいる。あとはボタン一つを押すだけだ。俺は親指でそれを押そうとするのだが。


「…………」


 指が動かない。躊躇う気持ちが俺の動きを止める。さきほどあんなことがあって、迷惑かけて、彼女と話すのが怖くなっている。


 どうする? どうすればいい? いや、押すべきだ。みんなに知らせないと。


 そう思うのに。


「…………ッ」


 俺は、スマホをポケットにしまっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ