協力する三者
そんな、これじゃなにかあったらもう遅い。仮に失敗しても三日前からやり直す、というのは出来なくなった。
「君には悪いが、正直嬉しく思ってる……。まあまあ、そう睨まないで」
冗談じゃない、タイムリープはセブンスソードで大活躍したんだ、悪魔との大戦でも期待してたんだぞ俺は!
「これは愚痴になっちゃうけど、最近忙しくって。そこに現れた警戒対象二つが勝手に弱体化してましたなんて言われたら、ねえ?」
「んだとてめええ!?」
「こっちの気もしらないでニヤニヤしてんじゃねえ!」
「ごめんね~」
「まあ、今のは室長が悪いですね」
「君が言うのかい?」
空気を良くしたいのか悪くしたいのかどっちなんだよこの男はマジで!
ということで、俺からタイムリープ能力は失われた。トホホな話だ、くそ。
「おい、その悪魔召喚師ってどこのどいつか目星付いてるのか?」
モニカが聞き賢条が答える。
「まだ不明だ。君たちには調査をお願いしようと思っててね、というのも最近不穏な人物が入国しているのが分かっているんだ」
その言葉に間が開く。俺はなんのことか分からず話の続きを待つのだが、モニカたちにはなにか思うところがあるようだ。
「これはノックもなしに押し入ったお詫びと言ってはなんだがね、教えよう。その名前が神野秀明、とびっきりの悪魔召喚師だ」
「神野!?」
その名前にアメリアが驚いた。モニカも険しい表情をしている。
「知ってるだけじゃないね、なにが心当たりが?」
アメリアがモニカに言っていいものか尋ねるように見つめる。どうやら今回も俺は蚊帳の外っぽいな。
「北欧の田舎でやつに似た手口で悪魔召喚儀式があった。もしかしたら動いているのやもとは思っていたが」
モニカが話し賢条が食いつく。まるで話題が磁石のようにくっ付いていくな。
「ほう、彼がね。そっちはおそらく撒き餌だろう、よりこっちが本命っぽくなってきたな」
二人の会話は俺にとってちんぷんかんぷんだ、その神野ってやつが危険なのは分かるがそれでどうして日本が本命になるんだ?
「えっと、どういうことなんだ?」
「日本人の彼にとってここはとても警戒されている。故郷でありアウェー。そんな彼が戻ってくるなんてかなりの事情があるはずなのよ」
「なるほど」
そこでアメリアが近き耳もとで教えてくれた。 リスクを取る以上リターンがあるはず、ってことか。
「最近活動を増しているリング・オブ・オーダーに神野の来日、未来で起きる悪魔の襲来、か。いやに重なるな」
賢条が顎に手を添え思案している。まるでバラバラだったパズルのピーズがくっつき一枚の絵が浮かび上がるよう。
「社長はどう思ってるんです?」
「…………」
モニカも同様に考え込んでいるようだ。
「とりあえず話を進めるが、それでどうだい聖治君、やってみるかい? 君がその気なら僕たちがサポートに付くよ?」
詳細は分からないが悪魔召喚師の疑いがある場所への調査。当然危険だろう。だが望むところだ、ただじっとしてるよりも先制だ。
いいね、悪魔に先手を取るなんて初めてだ。やる気出てくるぜ!
「はあー、わーったよ。その悪魔召喚師の件、私たちもやる」
(え?)
「いいのかい?」
モニカが盛大なため息を吐きつつ参加を決めてくれた。
「末端、どころか団員かも怪しいがスパーダであるこいつがやると言ってるんだ、私たちが動かないわけにはいかないだろ」
「社長! さすがです!」
まさかモニカも協力してくれるなんて。それはそれで心強い。
「意外だね、現在魔卿騎士団は機能不全だと聞いていたが。まだ君のような者がいたとは」
「あんな自己中どもと一緒にすんな、殺すぞ」
やれやれといった態度だが決めたからにはやってくれるはずだ、彼女もなんだかんだ分かりやすい人だからな。
「分かった。詳しい情報は後程送るが、君たちに頼みたいのはとあるクラブの調査。そこで悪魔召喚の儀式が行われている疑いがある。そこに潜入して現場を探してみて欲しい」
「そこで戦闘になった時は、ってことか」
「その通り。情報は送るが手段は任せる。とはいえ潜入調査だ、穏便にね」
「分かってる、暴れるつもりはねえよ」
「よし、いい感じにまとまったね」




