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3話②





 部屋に戻ってさっき買ってきた、持ち運び式簡易コンロと書かれて売っていたiHコンロのように平らでそれよりも薄く折りたためるものと、いわゆるフライパンと鍋、それからパンのようなものと油をキッチン的なところやテーブルの上に置いた。


簡易コンロはとりあえず買った方がいいと書いてあったし、値段も元いた世界のIHクッキングヒーターの本に書いてあった相場で言うと半額〜3分の1程度の値段だったので買ったやつだ。


よく考えたらあんまりお腹空いてなかったのでちょっとしたパンのようなものだけ食べて他は冷蔵庫に入れておいた。















 昼前になり、約束の待ち合わせ場所にたどり着いて、なんとかさっきの彼女と合流した。何か話したほうがいいのかと考えてる間に着いた。

思ったよりかなり近かった。


店構えは大きさは元いた世界の一般的なファストフード店やファミリーレストランくらいの大きさで中華的な色合いのSFチックというか前衛的というか、元いた世界だと普通のファストフード店ですと言われても絶対違うだろと言いたくなるようなそんな感じな建物だった。



中に入って注文をして商品を受け取り席に着いた。


見た目があの感じだから中ももっとファンタジーファンタジーした感じかと思っていたけど、思っていたより普通な感じでチェーン店のファミレスのような雰囲気だ。

品物も少なくとも見本を見る限りは前の世界に売ってても違和感がないような見た目のものが多かった。 


ジャンクフードのような持ち歩きながら食べられそうなものや、ジャンクフードでなく普通に座ってて食べるタイプのメニュー。

ちょっと変わったやつもあったりしたけどハズレだったら嫌だからとりあえず彼女と同じものを注文した。


誰かが選んだってことは、普通に考えると好き嫌いはさておき食えるレベルの味だろうってことだから少なくともハズレだとしても食べることができる程度の味だろう。ましてや初対面の相手に冒険した物なんて選びはしないだろう。


それに見た目も普通そうだったし。



「そういえば、名前聞いてなかったし言ってなかったよね」


席につくとすぐに、彼女はそう口にし自己紹介を始めた。


「私の名前は纏乃比まとのひねのメ。魔法士よ」



「俺は月ヶ瀬(つきがせ)諒。昨日登録したばかりの魔法士だよ」


「昨日?」


何を思ったのか顔を近づけて俺の顔をまじまじと見ながら少し疑問そうな表情でそう言った。さすがに急に顔を近づけられるのはちょっと緊張する。


「うん、昨日こっちにきてすぐにって感じ」


わざわざ自分語りするほどでもないし、全部説明するのもな、と思って端折ったけど嘘じゃないしいいかな。




「どのへんから来たの?」


この世界の土地勘は全くないしここは普通に正直に答えるか。


「日本……地球……うーん……。こことは違う異世界で、地球って呼ばれている星の日本って国から来たんだ」



「……ってことはあんた転生者だったの? うそー!」



「いや、本当だよ!」


「だって髪色はともかく、目の色が私が知ってる転生者な感じじゃないし」


「目と髪の色は生まれつき遺伝でこの色なんだ。確かに日本……元いた国じゃ珍しいけど他の国にはそれなりにいると思うよ」




俺は生まれつき目が黄色くて明るい茶髪だったから、転生前は特に新しい学校生活が始まる時とかに、指摘されて悪目立ちするのが嫌だったというのと、他のそのことを知らない先生に指摘されたて同じ説明何度もするのが面倒だからと言うことでカラコンとか黒染めしてたこともあった。



異世界に来てその地の人間を見た感じだと、自分のこの髪や目の色も普通にいたから変にに浮いたりはなさそうだと思って、持ってたカラコンは付けなかったけど、つけてもよかったかもな。



「目というより瞳孔の色。よく見ると(あたし)が知ってる転生者の特徴と違うなって、転生者みんな瞳孔は黒いし、聞いたことあっても赤色くらいだし。あんたはよく見たら紺色だから別の地域か他の国からきたんだと思ってさー」



ここに来て人を見かけた時、確かに色んな髪色や目の色の人がいたし、思い返してみると全員じゃないが目に違和感があった気もする。瞳孔の色や形とか。異世界だし、元いた世界と常識や見た目何から何まで全てが違ってもおかしくないし、瞳孔に関してはそういう流行りのコンタクトあるんだろうなって思ってそこまで気にならずにスルーしてたけど。


かくいう彼女も、若干緑寄りの金髪というか、 橄欖色(かんらんしょく)の髪に澄んだ青色の目、そして緑色の瞳孔をしていた。



「瞳孔の色は確かに別件で眼科に行った時、指摘されて調べたけどちゃんとは分からなかったんだよね。親もそうだったから遺伝なのは確かだけど多分突然変異の遺伝子か何かじゃないかって事でちゃんと理由は分かんない。少なくとも怪我じゃないし病気でもないと思うよ」


その診てもらった眼科は祖父や父も昔から通っている病院だったこともあり、二人とも問題なく暮らせてるから大丈夫なパターンだろうと言うのもあったのかもしれない。


「瞳孔の色でそう思ったってことはもしかして、転生者以外のこの世界の人は黒い瞳孔の人っていないの?」





「そんなことないよ。普通にいる。ただ、転生者は黒や赤以外聞いたことないってだけ。もしかして親がこっちの世界の人だったり? はないか。行き来出来るわけじゃないし」


「異世界の血どころか、ハーフやクォーターでもないよ。ていうかそもそもあったとしても大昔に海外の血が入ったことあるとかないとかのレベルだよ」




「そうなんだ」


一方的に自分の方が多めにしゃべった気もするけど、自己紹介もすみ、とりあえず注文した昼食を口にする。


もっと異世界っぽい味って言えばいいのか、食べたことない未知っぽさのある味だと思っていたけど、ちょっと変わった味だけど海外の食べ物って言われるとそうなんだと納得するような味だった。


普通に美味しい。



半分くらい食べたところで、自分も聞こうと思っていたことがあったことを思い出した。どう聞こうか。



「そういえば聞こうと思ってたことあるんだけど」


「何?」


「あいつが魔法で纏っていた金属って、はんだか何かのすぐ溶けるやつできてるの?


「流石に違うと思うけどなんで?」


「あの火の量と火力で10秒弱。あんな厚さの金属だし、いくら熱伝導率が良い金属だったとしても流石にそこまで熱くはならないだろうし、そもそも溶けるなんてありえない。属性相性がどうとか以前のレベルだと思うんだけど、この世界ってどうなってんの?」


「まぁ普通に失敗したか、使えるだけで向いてる訳じゃななかったり魔法を発動させる際間違えた部分があったからああなったのかもしれない。金属性は飛び抜けて失敗しやすい魔法だし」


「失敗しやすい?」



「この世界には火そのものがないの」


「え……?」

突然の言葉に驚いた。


「火そのものがないっていうとかなり大袈裟になるし、火自体は存在するんだけど、火の魔法にかなり向いている人は滅多にいないし、火を使うには魔法にしろ魔法じゃないにしろ工程が多い割ににしょぼかったりするから面倒だし使う人もあまりいないの」


「魔法はともかく、料理とか風呂とかどうしてるの?」


元の世界のように電気がある世界ならIHとかもあるし、なんならオール電化っていうのが存在するし火を使わなくてもできるなと質問した直後に気がついた。


「熱魔法は簡単だからそれあればわざわざ面倒なことしなくてもって感じ」



「そうなんだ」


「そうだ! それで気になってたこと思い出したんけど、あんたの火の魔法、工程そんなに組まれてなかったように見えたんだけどどういうことなの?」


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