第三話
学校に付き、昇降口に貼ってあったクラス表を見に昇降口へ駆け寄る。
『えっと...俺の名前は...』
この学校は1学年4組構成になっていて1クラス35人前後の人数になっているらしい。俺は1組から順に見ていったが中々見当たらない。それもそのはず。4組の真ん中に名前があったからだ。
『4組か...』
きっと何組でもこの反応だったであろう。知り合いがいないかもう一度クラス表を見ていて気がついた。
俺、中学の奴ら知らねぇ〜よ!
思わず心の中で叫んでしまった。中学からネトゲにはまり部活もやめゲームをしていた俺にリアルに友達なんているはずがない...
そんな事を思いながらとぼとぼと4組の教室へ向かった。
『はぁ〜』
俺は自分の席に座ると同時に小声でため息をついた。高校生活初日なのに朝から災難ばかり起きている。先が思いやられるな...なんかことをと思っていると
『よっ!そんなため息ついてどうしたんだ?』
いきなり後ろから話しかけられた。俺は少しびっくりしてしまった。恐る恐る声がした後ろに顔を向けると...
『元気か?』
いかにも熱血男子と言わんばかりの迫力で優しい声がけ。お前はいったいなんなんだっ!
『あ、あぁ...』
ギャップに驚いてしまい返答が上手く返せなかった。
『ならいいんだ』
なんだこの人、優しすぎる。俺が女子なら一目惚れしてしまいそうなほど良い奴ではないか!
俺は男なのでそんな感情はないが、男から見ても確実に優しいと思える。
『俺は赤坂紅だ!これから宜しくな』
『あ、はい。宜しくお願いします』
『ははっ、そんな畏まるなって』
そう言いながら紅は俺の背中を叩いてくる。痛い...スポーツマン位の威力であった。大切な事なのでもう一度、痛い...
『それでお前の名前は?』
『お、俺は久美翔馬っていいます』
『だから畏まるなって』
痛いって!何度も叩くなよ。3年間俺の体はもつのだろうか...
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ンキ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
予鈴が学校中に響き渡った。紅は自分の席に戻った。と言っても真後ろだけど...
これから朝礼して入学式そしてホームルーム。今日の日程はそんな感じだ。
『早く帰りたいな...』
紅にも聞こえないくらいの声で呟いた。すると隣の席から4つ折りになった紙が回ってきた。恐る恐る開いてみると...
『それな』
紙には大きくその文字だけがあった。隣をみると物凄い清楚系な女の子が座っていた。思わず見とれるほど綺麗で言葉を失っていた。すると彼女は俺の顔を見てニッコリと笑い前を向いた。彼女に見とれてしまった俺は我に返り前を向いた。
朝礼が終わり入学式のために体育館に移動することになった。廊下に出ると驚きのあまりクラスに戻ってしまった。
『なんだよ、あの人数多すぎだろ...』
俺は肩を震わせながら後ずさりする。すると背中に人が当たった気がして振り返ってみるとそこには転んだ女子生徒がいた。
『ごめんね怪我はない?』
『はい...大丈夫です...』
俺はその子の手を取った。1人で立てるのは分かっているが原因が俺なのだからそれくらいは当然である。
『本当にごめんね』
俺はさらに謝った。初日から何をなってるんだよ俺は。
『いえ、気にしてないので』
彼女は急いで廊下に出ていった。その子は廊下の人混みに消えていった。
やってしまった...そう思った。
『はぁ...とにかく体育館行かないとな...』
俺は肩を落としながら体育館を目指す。
『学校はやっぱり嫌だな...』
誰もが思ったことのある感情ではあるはず。初日からこんなことあれば嫌になってしまう。けど入ったからには学校行かないとな...
『はぁ...』
今日で何度目だろうか。ため息をすると幸せが逃げるとは言うけど幸せな人はため息なんてつかないと思ってしまう。
今はそんな話どうでもいい。今後どう学校生活を充実させるかそれを考えなければ俺は学校を楽しめない...