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深淵に潜むもの

作者: 大和ラカ

そこは暗い闇の中だった。

周りに光は見えない。

どこを見ても黒一色。

吸い込まれるわけでも導かれることもない『無』の空間。

歩き続けても変わらない景色。

何を求め、何を思っているのか。

理由も分からぬままただ歩き続けている。

いや、理由はもう分かっている。

あるはずのない希望を抱き、光を求め続けているのだ。


自分を理解することをできず、相手を理解することもできず、闇に落ちていった。

これは報いだ。

器の小さい自分への罰だ。

罰であり罪でもあるだろう。

そんなことは分かっている。

許せないものがある。

誰にだってあるはずだが、それを認めきれなかった。

相手のことを理解したくてもできない。

自分が傷つくのことを恐れているから。

知りたくない事実、知らなければならない真実。

そのどちらかを選びきれず、自分は闇へと落ちていったのだ。

それなのに光を求めている。

自分は強欲だ。

強欲で傲慢で自分の思い通りにならないことを認めたくない自分がいる。

それはありえないし、あってはならない。

その事も理解しているのに理想を追い求めてしまう。

憎い。

そんなことを思い続け、闇の中を歩き続け光を追い求めていく。


闇を歩き続けしばらくたった。

景色が変わることないままであったが、どこかから懐かしい温かさを感じた。

温もりを求め足を踏み出そうとする。

しかし簡単に前に進めない。

温かさは感じる。

しかし動き出せない。

なぜだ。

いや、もう分かっている。

迷いがあるからだ。

その温もりに触れたら、また傷つくかもしれないからだ。

あるいは温もりを掴み、それを自分が飲み込んで再び堕ちることもありえる。

そう思うと動き出せない。

その場に止まり、動けぬまま迷い続ける。


闇の中温もりを求めたいと思った。

しかし動けない。

恐怖、不安、疑心、重なり合う負の感情。

踏みとどまっていたとき、こちらに近づく何かがあった。

近づくにつれそれは優しい光を放っていた。

無意識に手を伸ばしていた。

しかしまだ届かない。

もう少しで届きそうで届かない。

その光からあの温もりを感じた。

理解できないものを抱いているもの。

それでも捨てきれない温もり。

手放したくない気持ちが勝り地面を蹴った。

光に手を伸ばし、もう少し、もう少しで届く。

その刹那自分の周りが光放つーー


闇は己の迷い

認めたくなく目を背けた結果

しかし、それでも大切にしたい

人には感情がある

だからこそ憎悪も嫌悪も抱く

でも、それ以上に抱いている愛情

ともに居たいと思う気持ち

再び見失うことがあるかもしれない

それでもやっぱり

君といたいと思うのだ


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― 新着の感想 ―
[良い点] 沈み切らず自分の意思で結論出して浮かび上がったのはいいこと。 [気になる点] 小説というより詩の類。 [一言] 現実要素無く、内面の話だけに終始していたので詩に見えたのかも知れません。
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