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賢人の召喚者  作者: タラバ
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6話 事後処理

上手い事纏めれませんでした。

ですが今のままじゃ何時までも投稿出来なさそうだった為、一旦投稿します。

書き直せたら編集する予定です。

あの後、戦闘はあっさり終わった。何故かと言うと冒険者達の働きが大きい。

話を聞いてみると彼等は近接特化のPTらしく、遠距離攻撃の手段を弓しか持っていない代わりに全員が近接系のバトルギフトユーザーだとか。まぁ大分脳筋な感じではあるが。

兎も角、彼等の働きで盗賊は無力化。一応情報を得る為に生かしていたが思いの外に抵抗が強い為に仕方なく殺してから後ろへ駆けつけたんだと。尤も後ろへ回ってみたら7人中4人が足止めされているのは予想外だったみたいだが。

予想していた戦力に対して数が減っていたのであっさりと盗賊を倒し、抵抗していた奴等は全員あの世へ送られた。

沼に脚を取られていた4名は捕縛され、直ぐに自分達の情報を吐いた。というのも彼等の素性は元々は冒険者で、夢半ばで現実に挫折して田舎へ戻った人達らしく、狩人になるには半端で農業に従事するも上手くいかずフラストレーションが溜まっていた人間が集まって盗賊団を設立。

元冒険者という事も有り、ある程度物の流れや仕組みを知っていた為に小規模の行商を狙い撃ちして金銭を得ていたんだとか。何度かやって成功続きだったのを良い事に今回普段よりも少し大きい団体に手を出した。

それがアンバー少年が参加した団体だったと……何とも運の無い話だ。お互いに。


盗賊の情報を引き出していると目の前が明滅した。どうやら今日の活動限界が来たようだ。

窓を開いて盗賊への尋問の続きを見る。後でメモ帳ソフトに要点をまとめておかないと。

そう思ったがアンバー少年は尋問の場から追い出されていた。子供に見せるモノじゃ無いと思ったのか初老の男性に促されて別の青年の下へ移動した。

何やら青年と喋りつつ荷物を移動させたり、馬を馬車に繋いだりとせわしなく動いていたが数時間もすると移動を始めた。

やられた馬が1頭の為、盗賊達が使っていた馬を頂いて変わりに使い、余った馬は商人の青年が乗って移動する様だ。因みに生き残った盗賊は一つに繋がれて歩かされている。

ノロノロと進む商隊は襲撃があった日から数日かけて次の村に到着した。


ついた村である程度の補給を行う、盗賊との戦闘で多少なりと荷物が崩れ食料が駄目になったりもしているのだ。出来れば盗賊をどうにかしたいが元の町にまで連れて行かないと駄目らしい。

いっそスッパリ首を落とす事も考えたらしいが余罪が多いだろうと睨み、その分懸賞金がかかっていると踏んで連れて行く事が決まった。

盗賊を引き連れながらの進みは遅く、当初予定されていた1ヶ月というスケジュールを超え、2ケ月かけて行商を行った。盗賊だけ先に町へ向かわせるという案も出たが、盗賊も家族に別れを言いたいと懇願してくるのでそれを受け入れた形になる。

良く受け入れたなと思ったが、どうやらあの土を変質させるギフトを持った初老の男性の孫が首チョンパされた盗賊の一人と結婚していたんだとか……まさかそんな所で繋がりがあるとは思わなかった。世間は狭いという事だろう。


しかし嫁いだ娘さんも災難というか……自分の祖父が尋ねてきたと思ったら自分の夫の死亡を伝えられて、更に夫が祖父の居る商隊を襲った盗賊で、どちらかが必ず死ぬ状況だった。

明らかに話が重過ぎる。小学生高学年が生きるにはこの世界は厳し過ぎる。

そもそも何故こんな裏話を私が知っているかというと初老の男性に相談されたからだ。アンバー少年経由で。

初老の男性はアンバー少年のギフトを知らなかった。というのもバトルギフトやそれに類するもので無ければ報告はしなくても良いという取り決めがあったからだ。

というのもこの世界で自分のギフトを他人に伝えるのは早々やる事では無く、そうしなければならない以外では滅多にやらない。例外は家族位だとか。

で、いざ盗賊との争いが起こってアンバー少年のギフトを聞くと私が出てきて行き成り行動を開始したから驚いた。召喚系のギフトは珍しいが無い訳では無いが自立して勝手に行動する等は聞いたことが無いらしい。

暫定的に商隊のリーダーになった初老の男性はアンバー少年にギフトについて聞き、私がモノを考えて行動し、相応の年月を経ている事を知った。そしていざ自分の孫が、自分達が手にかけた盗賊と結婚した孫が居る村に近づいた時、その重圧に耐え切れず一縷の望みをかけて私に相談をした……というのが結末だ。


とは言え、特別な事は何もしてやれなかった。聞けばお孫さんは生まれながら足が悪いらしい。

それ故に嫁の貰い手も無く結婚も大分遅れていたんだとか。それでも、たとえ足が悪くても構わないと、嫁に来てくれと言われ笑顔で嫁に行った孫へ夫の死を伝えなければならない。

しかもソレを行ったのが自分が率いる商隊がやったという事実が男性に重く圧し掛かっていた。そして彼は私に問いかけてきた。

どう伝えたらいいんだ、嫁に行くと、こんな私にも家族が出来ると喜んでいた孫にどうやって伝えればいいかと。生まれながらにハンデを背負った孫がやっとの思いで掴んだ幸せを祖父である私が摘み取ってしまった。

死んだ人は戻ってこないし後に引くことは出来ないのは分かる。それでも孫には幸せになって貰いたかったのにその幸せを取り上げるのが自分というのが悔やんでも悔やみきれないと彼は言う。


聞いていてそうだろうと思う。もし自分が……自分があの時、息子嫁を受け止められなかったらどうだったろう。

きっと今、目の前で嘆き悔やんでいる男性と同じ気持ちになったんじゃなかろうか。そして目の前に不幸が横たわり後悔だけが残る。

例え息子に謝ろうと、どれだけ悔やもうと終わった事は変えられない。もしあの時自分が間に合わず……息子嫁が障害を抱えたら? もし自分の孫が障害を抱えたら?

考えるだけで身が竦む。胸が苦しくなる。

初孫を抱いた時にどれだけ嬉しかったか。小さな手の平が握り返してくる事がどれだけ感動的だったか。

それを知るからこそ、知っているからこそ彼の嘆きが重く。それを告げるのがとても辛い事だと分かってしまい無責任な事が言えない。


故に、私が彼へ投げかけたのは慰め等ではなく。淡々と事実を語るだけにした。

今回の件が避けられない事態だった事。予測が出来ない事だった。

戦いの最中、自分の知人が居る等を確認する余裕が無かった事。こちらへの攻撃が苛烈で守る事に必死だった事。

事実を述べてから孫へ話す時には必ず第三者を入れる事。出来るだけ冷静になる事。必要なら時間をかけて、もしくは時間を置いてから話す事をアンバー少年経由で伝えて貰った。


アンバー少年にもキツイ話だと思うが、この手の話が身近な物という事を知っていて貰いたい。この世界では命がとても軽い。

正確には日本と比べると……だ。地球ですら日本を出てしまえば殆どが銃社会の為、簡単に人が死ぬ。

それこそ子供ですら銃を握れば大人を殺せるのだ。年齢一桁の子供が誤って自分の親を殺す程度の事故が起きる程、人は簡単に死ぬ。

銃に比べればこの世界の武器は……殺傷力という点では弱いだろう。だがこの世界にはギフトがある。

誰もが持つ、その人だけの能力。使い方次第では生活を豊かにする事が可能だろう。

その反面、人を殺す事も簡単だろう。それは誰もが見えない拳銃を常に携帯している様な物だ。

そんな誰もが特別な世界に生きるのなら命の重さ、そして人を殺すという事がどういう事か認識して欲しい。


多分この世界では道徳というモノは軽視されているだろう。自分の身を守る為に相手を攻撃する。

物を盗られない為に武装する。自分が貧しいから周りから奪う。

別に特別な事じゃない。でも、だからこそ、アンバー少年にはソレをやって欲しくない。

それをやってしまうと……少年はもう戻れなくなる。そんな体験をして、それが常識となったらアンバー少年は日本で馴染めなくなるだろう。

だからこそ私が前へ、危険から守らなくては。彼が帰る為に。家族に会う為。

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