装飾の陽
飾灯を永延と振り廻し、市場に夜が訪れる時、幕は開いた。
ピアノの音が酒場から聴こえる。ひそやかな、それでいてぎりぎりに自己を主張する、そんな音だった。いつもの常連がやってくる。さあ、夜の始まりです。
上弦の月が昇っている。
朱く、そして朱く。それでいて暗く。
暗かがりの宵が今日も、教会の鐘の音が街に降り注ぐ。
わたしは眠っていた。わたしは眠っていた。
うつらうつらと意識の感性の、その沈みゆく世界の中に人々はいる。
クラリネットの音が聴こえる。少し音程がずれているようだね。
朱い月だな
それはカーテンが降りたことの証である
夢が見えたな
それは希望を奏でている証である
言葉のサーカスに夜はある。
民衆の敵はどこにいる? 民族浄化だ!
だれかがお呼びになった。