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着物は下着が要りますよ


今日は土曜日、学校は休み。

「スーーーーーー!」

バイトも休み…と、言いたかったが。お呼びだ。

「ドォーーーーーー!」

毎度毎度、朝からうるさいな。

「なんだよ、もう少し寝かせて…」

「お花見!行くわよ!しかも、今回はお母様の提案だから拒否権はないわ」

ベッドから勢いよく起き上がる。

「マジでっ!?」

「え、えぇマジよ」

俺が言ったからなのか、それとも前から考えていたのか……。

でも昨日は「教えてくれてありがとう」って言ってたしな。

一応礼くらい言っておこう。

「それで、お前はなんでなにも着てないんだ?」

もう、見慣れてしまった体。

それでもやはり興奮す……じゃない。興奮なんか元からしてない。

本当だ、断じてしていない。

「えっ?あぁ、着物が着たくてお母様に聞いたら「須藤さんに聞いてみたら」って言われたから」

裸な理由ないな。

勘違いしてるのか?

「なぁ、着物って下着付けるんだぞ」

「えぇっ!?でもお母様はこの格好で行けって……」

あのお母さんは……本当に。

礼をいうつもりだったが、少し……失せたというか、なんというか。

「はい、じゃあ下着を付けて部屋で待ってて下さいね〜。すぐ行きますからね〜」

「なんかムカつくわね。まあいい、わかったわ!」

走って帰っていった。

俺は私服でいいか。

というか、私服以外持ってきてないしな。

私服に着替えたところで扉が開いた。

「早すぎるだろ、どういう速度してんだ……よ?」

そこまで言ってやっと気づいた。

「み、美緒様っ!?申し訳ありません」

「いえ、いいのよ。それより……」

いつもと少し違う。

まあ、全てを見て言うなら下着姿なんだがそこはもう変じゃないとして。

少し照れてる?頬が薄紅色に染まっていた。

「私も着物の着方わからなくて……てへっ」

今のところこの親子で違う部分が綺麗好きかそうじゃないかぐらいなものだ。

「今、ここでよければ着れますが?」

「ほんとっ!?さすがは須藤さん、着物の着方知ってるのね〜」

まあ、昔バイトしたことあったからな。

2ヶ月くらいで辞めたが、いいことを学べたバイト先だったと今でも思う。

そんなことは置いておいて、今は着物だ。

「はいっ!お願いしまーす」

ハイテンションだな……。

「まずは、広げて襟部分のテープに襦袢じゅばんのテープを止めて、この時紐は襦袢の後ろの布に通しておいて下さい。それでーーーーーー。ーーー。」

どんどん説明し、約5分。

「これで…、完成です」

我ながら上手く出来た方だ。

「すごーい!こんなの普通知らないわよ?しかも異性のなんて」

嫌な言い方するなぁ。

「バイトですよ、バイト」

一応女性のも習ったのだ。

使うことはなかったが……。

「あの、美緒様。今日の花見って……

話を切り出す。

「そうよ、アナタに言われて考えたの。夫が死んでから可奈のこと全然頭になかったの、だから今日くらいは……ってね」

やっぱりか。

ここで俺が言うべきことは1つ。

「ありがとうございます」

「私は教えてもらった側、この前も言ったでしょう?お礼を言うのは私よ」

「光栄です」

それはそうとして、なんか忘れてる気がする。

ガチャッ

「おっそーーい!何してんのよ!」

「あっ」

これか、この程度のことでよかった。

「忘れてたんでしょ」

「イヤダナァ、ワスレルワケナイデショ」

「ごめんなさい、可奈の須藤さんとっちゃって。邪魔者は退散するわね〜 」

そう言ってそそくさと部屋を出ていった。

「お母様!?なにか勘違いを……」

もういない。

「着物持ってきたからここでやって」

鋭い視線。

理不尽だろ。

さっきと同じ手付きで約5分で完成。

「スドーにしてはなかなかね」

「そりゃあ、どうも」

「褒めてつかわす」

上から〜。

「全く嬉しくねぇわ」

ムッとする。

そこへ美緒の声がした。

「須藤さーん!お弁当お願いできるかしらー?」

「はーい!了解です!」

ナイスタイミング。

「じゃ!弁当作ってくるわ!」

「なっ!スドー!ちょっと待ちなさい!」

逃げるが勝ちという言葉があるが、本当だな。

急いで美緒のところへ向かった。

「ちょっと、花見らしいお弁当を……1時間以内にお願いできるかしら?」

「はい!30分で出来ます!」

余裕だ、和食はマスターしている。

「あらそう?じゃあ出来るだけ早くお願いするわ」

「かしこまりました」

約24分。

いつもより豪華な弁当ができた。

そして、冷蔵庫の中身がなくなった。

帰ってきたら買いに行かなきゃだな。

そう考え、園木親子の所へ向かった。

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