初日は裸で語る…かも?
掃除を終わらせ、現在10時半。
園木母の帰宅。
「おかえりなさいませ。夕食ですが和、洋、中なにになさいますか?」
脱いだコートを預かり、質問する。
「そんなに固くならなくていいのよ?和食でお願いするわ」
やはり、普通のことがなってない。
執事などの経験はないが、昔ドラマなどで見たことがある。
これが普通なのだ。
「かしこまりました、至急ご用意致します」
今は考えることではない。
急いでコートを片付け、料理にとりかかる。
約10分で出来上がった。
和食でよかったと思う。
和食は得意だ。昔から作っているし、日本人だから。
そういえば、園木のあの弁当はなんだったんだろう。
後で聞いてみることにした。
「お待たせしました」
the日本人、the庶民。
という感じに仕上げた。
「それじゃあ、いただきます」
箸を持ち、料理を切って一口。
綺麗だ。
作法かなにか習っていたのかもしれない。
「あら!美味しい!すごいわ!こんなに美味しい料理食べたことない!」
「ありがたき幸せ。ですが、さすがに言い過ぎではありませんか?」
食べたことがないは少し言い過ぎだと思う。
プロの方々に敵視されそうな一言だった。
「本当よ!プロのシェフが作ったと言ってもバレないくらい」
本当に言ってるのだろうか。
シェフの皆さんすいません。
だが、ありがたいことに変わりはない。
「うちの経営するホテルのレストランでシェフしてみない?なかなかいい場所だと思うのだけれど」
「いえ、実際に見たこともないですし。今はこのバイトがありますから、遠慮しておきます」
これを承諾しては、さっきした約束を破ることになる。園木を裏切ることになる。
そんなことは絶対にしない。
「あら、そう?もったいないわぁ、じゃあこのバイトが終わったらもう一度聞くわね。その時はいい返事をまってるわ」
「はい、ありがとうございます」
少し沈黙。
淡々と食事をする音だけが響いていた。
「あの、ご相談したいことが…」
「なぁに?」
することは3つ。
呼び名の件と、風呂の件。
そして園木の件だ。
「えっと、呼び名はどうしたら…」
「あぁ、そうね。まだ名乗ってなかったわね。私は、園木美緒。そうねぇ、美緒様でいいわよ」
「美緒様……」
「んん〜。なんか新鮮!もっと言って!」
この親子は変なところに反応するんだな。
「これから、たくさん言いますし今日は……」
「そうね。楽しみにしてるわ♪それで、可奈は〜、なんでもいいわ同級生なんだし、好きに呼びなさい」
よっし!まずは1つOKだ。
次は、
「えっと、あと風呂については」
「そうねぇ」
俺の体をジロジロ見たあと、悩むような体勢をして。
「いいわ、合格よ!一緒に入りなさい!」
なんか、勘違いしてないか?
「いえ、逆でして」
「逆?一緒に入りたくないということ?」
「はい、まあ」
一緒に入りたくないわけじゃない。
まあ男なんだから、それが普通のではあるが抵抗があるというそれだけのこと。
「どうして?なかなかいい体してると思うけど。あ、ちなみに上から90、56、87よ」
「俺が聞きたかったのはそんな数字じゃなくてですね!」
「あら、興味ないの?」
「いや、ないわけじゃ……じゃなくて!入らなきゃダメなんですか!?」
このお母さん、本当にこわい。
「ダメよ、これは規則なの」
おんなじこと言われたぁ……。
でも、なんか今笑ったような…。
嘲笑うような感じで、まるで楽しんでるみたいに。
見間違いかな。
「はい……。かしこまりました」
なんとか打開策を考えねば。
「さて、ご馳走様でした。美味しかった〜。可奈は今どこに?」
「今は寝ています、自分の部屋で」
「あら、そう。じゃあ私は先にお風呂に行こうかしら、お願いね?」
「はい、風呂の準備はできています」
掃除と同時進行にしていたからな。
「そうじゃなくて」
「?」
なんだ?何が言いたいんだ?
「私の体も洗ってね♡」
「なっ!はっ!で、できましぇん!」
噛んでしまった。
にしても、なんてことを言い出すんだこの人は。
「あはははっ!冗談よ冗談。じゃあ、着替えを持ってきてちょうだい」
「はい、わかりました」
食器を戻し、着替えをとりに行く。
確か、アイツの部屋の隣だから……ここだよな。
扉を開けると色々なものが散らばっていた。
まあ、主に下着とか…下着とか、下着とか。
早めに部屋を出たい。
すぐに着替えをとって、風呂場へ走った。
ガラッ
勢いよく開けた扉の先には………。
大きな丘が2つ。
そして、人1人の親にもかかわらず、綺麗なボディライン。
まあ、結果論から言って裸だ。
「あら、大胆♡」
「ブーーー!も、申し訳ございません!」
開けたとき同様勢いよく閉めた。
扉越しに話しかけられる。
「別に大丈夫よ?もう家族みたいなものなんだし」
家族か。
そういえば、あの話をまだしてなかったな。
もう一度扉を開け、中に入る。
見てないからな、決して見てないからな。
着替えを渡す。
「ありがとう」
「あの、美緒様」
「どうしたの?須藤さん」
「アイツのことなんですけど、アイツいつもはニコニコしてたりしますが、本当は中に溜め込んでるんです。寂しがってるんです」
あと一言。
「だから、休日とかは仕事ばっかりじゃなくてもう少しアイツのこと考えてやって下さい
」
「わかったわ。教えてくれてありがとう」
「いえ、失礼します」
扉を閉めた。
「ふぅ。ナイスボ……じゃなくて、言えてよかった」
これで少しでもアイツの気持ちが伝わればいいな。
そう思いながら、食器洗いに戻った。
1時間後
食器洗いも終わり、自分の部屋で休んでいると園木が来た。
「スドー、どうだった?」
「どうだったって?」
「呼び方とお風呂」
「あー、呼び方はなんでもいいってさ。風呂は入らなきゃダメらしいけど」
どちらかといえば、風呂の方が勘弁してほしかったのだが。
仕方がないといえば、仕方がないのかもしれない。
「えー、残念。まぁいいわ、じゃあお風呂行くわよ」
「ウィッス」
返事をする以外の選択肢はなかった。
この家は特別で、風呂が温泉のようになっていた。
当然着替えるところも違う。
ガラッ
「うわー、すげぇ」
デカいなぁ、混浴じゃなきゃいい温泉なんだが。
そんなことを考えながら、園木を探した。
まだ来てないのか。
ガラッ
そう思った瞬間、扉が開いた。
「なあ、洗うのは届かない部ブーーー!」
今日2回目。
あのお母さんより胸が少し小さい?
とか言ってる場合じゃなくて!
「なんでタオル巻いてこないんだよ!」
「なんでって、ここは自分の家よ?」
「そうだけど!俺がいるだろ!早く巻いてこい!」
「?わかったわよ」
よくわからなそうな顔で戻った。
少しして入ってきた。
「はい、よろしく」
「ん?洗うのは届かないところだけだろ?」
全体とかありえないぞ。本当に。
「そんなのめんどくさいじゃない。全部よ全部」
でも、ここで食いついても時間が無駄なだけだな。打開策は今度考えるとして、今は従うしかない。
「じゃあ、洗うぞ」
ゆっくりと体に触れる。
柔らかい。
昔裕太を洗っていた時と同じ感覚で洗うことにした。
途中まではよかったのだが。
「ひうっ!」
「え!ごご、ご、ごめん!」
「なんでやめるのよ」
「なんでって、お前が変な声出すから」
「少しくすぐったかっただけ。続けて」
くそっ。くすぐったいだけならあんな声出すなよ。
勘違いしちまうじゃねぇか。
その後は何度か声は出たものの、無事終了。
ここで予想外の出来事が。
「はい!今度は私が洗うから!」
「え?いや、遠慮しておく」
「なんでよー、はい前向いて!」
やめてくれほんとに。
無理矢理前を向かされる。
どんどん近づいてくるのがわかる。
焦りなのか興奮なのかわからない心拍数。
まずいまずいまずい。
そして、胸の先が背中に当たる。
「うわあぁぁぁ!やっぱいい!自分でやるから!」
「なによ、びっくりしたぁ。わかったわよ、そんなに自分でしたいならすれば」
そのまま湯船に向かって歩いて行った。
危なかった。もう少しで理性が崩壊するところだった。
そして、普通に風呂に入ったものの。
風呂で疲れるといった、新しい体験をした。
その後の試練は………。
洗濯。
わざととしか思えないほど、ちょうどよく上に下着が乗っている。
ここまできたらもうヤケクソだった。
洗濯をし、たたみ、干し、屋敷中の電気を消して部屋に入った。
「あぁー、疲れた。1日でこんなに疲れるとは思わなかったぜ、道理でみんな辞めるわけだ
」
そしてここであることに気づいた。
弁当いるじゃん。
てことは、朝飯も一緒に作るだろ。
5時起床か。
今の時刻を確認する3時2分。
ほぼ寝れねぇ。
でも睡眠は必要だ。寝よう。
自分の部屋の電気を消して寝た。
召使いバイト初日終了。
残り364日。
ここからめちゃくちゃな俺のバイト生活が始まる。




