夏休み最終日の夏祭り
始業式が明日に迫った本日。
夏の重大イベントが開催される。
夏祭り。
それについてなのだが……。
「和也と祭りに行くのは私!」
「園木は毎日一緒に居るじゃない!今日くらい譲ってよ!」
「わ、私も須藤しゃんと行きたいれす!」
「何を言うか、須藤と行くのは私に決まってるだろう?」
可奈、朱音さん、優希さん、佐姫芭先生。
これは一種の戦争なのか?
「あのぉ、みんなで行くって選択肢は?」
『ない!!』
この4人ってホントは気が合うんじゃないか?
そんな気がした。
「あ、そうなんですか」
「それで?和也は誰と行きたいの?」
「え?」
可奈の唐突な質問に間抜けな声が出てしまった。
「この4人の中で誰と行きたいの?って聞いてるの」
「いやぁ……俺はその〜」
咄嗟に目を逸らす。
しかしこの生徒会室に逃げ場はない。
「私よね!?だって婚約者なんだから!」
「婚約した覚えたありませんよ!?」
「わ、私は友達として……」
「その理由は一番いい気がします。これ以降の理由は出来れば聞きたくないです」
朱音さんからの優希さんときて、聞きたくないと言ったのだがスルーされそのまま続いた。
「私は別に……アンタと行きたいわけじゃないけど仕方なくよ!」
「ここへきてツンデレぶち込むか!?」
「私は2人でいちゃラブしながら食べ歩きをして……その後ラブホで…キャッ」
「貞操の危機を感じます。というよりそれはもう理由でもなんでもないです」
『さぁ!誰と行くの!?』
またぴったりか。
「俺はみんなと楽しく行きたいなぁ〜……なんて」
そんなこと言っても通じるわけないよね。
この人達だし。
「もう、いいわよ。じゃあ全員でいいわ」
可奈が納得してくれた。
よし。
「わたっ……私も全員でいいです」
さすが優希さん!
話がわかるぜ!
問題はあと2人なんだよ。
「みんなと一緒じゃあ和也とちゅー出来ないから嫌!」
「全員ではラブホに行けないではないか!反対だ!」
これをどうやって説得するかなぁ……。
「あっ!ならこうしましょう。全員じゃないならーーーー」
それを言うと2人とも青ざめ、承諾した。
夜
「集合場所はここでいいんだよな?にしても、なんで可奈とも時間を変えて来なきゃなんだ?よくわからねぇな」
集合場所は祭り近くの小さな公園。
ベンチに座って待つことにした。
15分経過
「みんな遅いな……」
そう言うと、タイミングを計っていたかのように可奈が来た。
「おぉ、可奈遅かった……ってなんだそれ!すげー綺麗だぞ!」
俺にはなんて言うのかわからないが、女性が祭りごとになるとするあの髪型。
それに着物も春とは違うもの。
「そ、そう?別にアンタに褒められても嬉しくないし?」
「だからお前はなんで今日ツンデレなんだよ」
いつもなら普通に喜んでるところだろ。
普通にしてればいいのに。
なんかの影響か?
「和也!お待たせ!む?園木はもう来ていたのか」
朱音さん、着物というイメージのある人ではなかったがとても似合うことがわかった。
「へぇ〜、さすがは朱音さん。着物も似合うんですね」
「そうだろう?もっと見てもいいんだぞ?」
はははと笑って誤魔化す。
きっと一緒に来たのだろう。
後ろから優希さんが出てきた。
「あの……私こういうのは初めてなので……」
「初々しくて凄くいいです、優希さん」
「あ、ありがとうございましゅ!」
あとは佐姫芭先生のみ。
なかなか来ない。
それから3分。
「どうする?先生来ないぞ?」
「うーん、私は置いていってもいいけど……後から数学の点数下げられそう」
「確かに……待つか」
あの人ならやりかねない。
本当に危ない人だからな。
「待たせたな!」
「佐姫芭先生やっと……な、なんだこのオーラは!着物を完璧に着こなしている!?そしてそれに見合う髪型!対策がバッチリだ!」
『強敵!』
なんなんだこのはもりシリーズは。
「ふっふっふ、これが大人の魅力だ!」
「ちょっとわかった気がする……」
俺がこくこく頷いていると可奈が隣へ来て。
「ダメよ和也!あんな年増に惑わされないで!」
それに続き朱音さんも。
「そうだぞ和也!きっと真っ黒だ!」
「いや、ちょっと待ってその真っ黒はどんな意味!?」
俺のツッコミに対し朱音さんは顔を赤くし俯いた。
「……ホントにそんなこと言うのやめてくださいよ」
「ごめん和也」
はぁ……。
ため息が出るよ真面目に。
「さっきから黙って聞いてれば……だから私はまだ25歳だ!それに黒くない!純潔のピンクだ!」
「その色のネタもうやめてもらえません!?」
「し、しかし本当に経験がないのだ……」
「いや、それはわかりました!わかったのでもう勘弁してください!」
そして全員で祭りへ向かった。
「和也ー!たこ焼き食べる?はい、あ〜ん」
「自分で食うから、俺の身を守るためにも」
俺の周りにいる4人は全員美人だ。
少しでも変な行動をしたら他の男性客に殺されかねない。
まあ、美緒がいないだけまだいい。
修羅場、頑張って切り抜けてね!とか言ってたな。
人の気も知らないで……。
「和也ー!チョコバナナあるよー!」
「須藤しゃん、金魚すくいとか……」
「須藤、私はチュロスが食べたいのだが……」
「和也ー!」「和也! 」「須藤しゃん」「須藤」
ああぁぁぁ!もう!
「好きなことしろぉぉ!」
1回1回反応することに疲れるんだ。
その後も射的、くじ引き、りんご飴、クレープなどなどthe祭りということをした。
そろそろ人も居なくなってきた頃。
居なくなってきているのにはぐれた。
「ここ……どこだよ」
とある神社までたどりついた。
そこの神社にある階段には可奈が座っていた。
「可奈?お前もはぐれたのか?」
「うん」
「そっか、じゃあ探しに行こうぜ」
「待って」
可奈に引き止められて俺は足を止めた。
階段を少し上がり可奈の隣に座る。
「なんだよ?なんか用か?」
「うん、ちょっとね。……和也はさ今の生活楽しい?」
「は?」
意味がわからなかった。
というより今更感満載だった。
「和也ってモテるじゃない?今日もそうだし、なのに私なんかと同棲してていのかなって思って」
モテてるに入るかどうかは知らないけれど、そっくりそのまま返したい。
「顔が良くて勉強が出来る。教えるのも上手いし運動だってできる。料理も美味しいし歌も少し上手い。この3ヶ月で和也のいいところいっぱい見つけたんだ」
俺は弱味を誰にも見せないだけ。
完璧なわけじゃないんだ。
「そんな和也は私と居て迷惑とか……」
「馬鹿かお前」
途中で言葉を被せた。
「あのなぁ……確かにお前は頭が悪くて運動音痴で料理も出来ない」
「うっ……こんな雰囲気でそんなストレートに言わなくても」
「でもお前は歌が上手いし、なにより美人だ。スタイルもいい、お前こそ俺がいるのは迷惑じゃないのか?」
「そんなことない!私は和也といて楽しいし、危ないことも色々あったけど私はなにも出来なくて……」
「お前が迷惑じゃないのなら、俺だって迷惑なわけないだろ。雇い主と召使いだぜ?」
「……そうね!」
大きな爆音と共に花火が上がった。
それは狙ったかのようなハート型。
「ねぇ、和也。私」
ゆっくりと可奈が近づいてくる。
でも、嫌な気分じゃない。
いっそこのまま……。
「あーー!いた!やっと見つけた!」
焦って心臓止まるかと思った。
「あ、朱音さん。すいませんはぐれちゃって」
「私も……」
「そんなことはいいから!早く花火見に行きましょ!」
朱音さんの見つけた穴場で俺達5人は花火を眺めた。
大きい花火や小さい花火。
今年の夏の……1つの思い出。
残り220日
「そういえば和也」
「うん?」
「バカ会長とサキュバスどうやって説得したの?」
「あー、あれは全員じゃないなら俺は祭りに行きませんって言ったんだよ」
「それは……承諾せざるおえないわね」
「だろ」




