被害者0の代償は被弾
テロリストにバレないようゆっくりと慎重に動く。
「ちょ、ちょっと和也!?どこ行くのよ」
小声で喋ってくれてサンキューな。
「撃退準備」
「アンタ、そんなこと出来ると思ってるの?これだから男は厨二病ばっかりで……やれやれ」
反応したのは巫女だった。
そうだな、出来ると思ってる。
たとえ厨二病だと言われようとも助ける手段はこれしかない。
「あの〜、すいません。あそこにあるハンガーラックお借りしてもよろしいですかね?服も全部」
「えぇ、いいですけど。何にお使いになるのです?」
女性の店員は戸惑いつつも貸してくれるようだ。
「まあ、色々です。これでお願いします」
俺は財布の中の5万を渡した。
くそぅ、給料の12分の1が……。
背に腹は変えられないか。
まずは、1つ。
次はバットだな。
テロリスト達は何をしてるのかわからないが、なんとかなりそうだ。
「おい、お前。何をしている?一歩でも動いたら殺すとも言ったはずだが?」
嘘だろ。
いつの間に後ろにいたんだよ。
全く気づかなかった。
こうなったら……強行突破だ!
4つあるうちの1つのミートソースを投げる。
「ほら!食いなよ!」
すぐさま俺は横へ避ける。
そして、テロリストは俺を撃つ気だったのだろう。
ミートソースの缶を連射した。
俺はもう走り出している。
バットを取り、棚に隠れた。
銃の乱射。
危なかった。あと3秒遅れていたら蜂の巣だった。
「この棚はありがたいな」
綺麗な並び方でさっきの水着売り場に繋がっていた。
これなら気付かれずに回り込める。
出来るだけ早く、出来るだけ慎重にテロリストの男の後ろへ。
奴はこちらに全く気付いていない。
バットで男の頭を叩く。
「悪いな、正当防衛だ」
そこまで強くはしてない。
気を失う程度だ。
あと2人!
「テメェ!」
銃を構える前にハンガーラックの後ろに移動した。
しかし、所詮は服。破れて貫通する。
その為のスイカだ!
ハンガーラックはピッタリとくっついていて、隣のハンガーラックにわざと当たるコースでスイカを転がした。
スイカは当たり、音がたったの気付いたテロリストの奴らはそっちを撃った。
スイカからは赤い果汁が出るので演出も出来る。
1人が倒れてる今、キチンと色を確認するほどの余裕はないはず。
「死んだか、あっけねぇ」
やはり。
「嘘でしょ……和也!和也!」
まずい!
これは想定外だった。
「あ?連れか?なかなか美人じゃねぇか。見せしめに殺すか」
くっそ!
慌てて胡椒を取り出す。
これも缶のものなので、ビニールをとってから。
「可奈!巫女!目を瞑れ!」
大声で叫びながら思いっきり打つ。
「なっ!テメェ生きてガッ!?」
片方の顔面直撃。
それと同時に胡椒が辺りに飛び散る。
「あぁ!?なんだこれ!目に入って……よく見えねぇ」
あと1人だ!
走り出す俺。足音で気付いたのか、奴は銃を構えた。
だが、
「おせぇよ!」
バット直撃。
テロリストは倒れた。
胡椒が当たっただけの奴も気絶する程度で殴った。
「和也ぁ……よがっだよぉ」
「俺はお前を残して死な」
そこまで言ったのだが、次に来たのは言葉ではなく銃声。
「へ?」
何が起こったのか、理解するのに5秒はかかった。
俺が……撃たれた。
1番目の奴が起き上がっていた。
頭を抑えているものの、正確な射撃だった。
口から血が流れて、その場に倒れる。
「いやぁぁぁ!和也!」
今口から流れているのは、唇を噛んでいた時の血ではないことが明らかだった。
そして俺は、薄れゆく意識の中……警察の「突入」合図を耳にした。




