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頭を使え

《全員動くなよ?一歩でも動いたら撃つ》

さすがにこの人数を縛るほどの縄は用意できていないのだろう。

このフロアにいるテロリストは3人。

3人とも拳銃を持っている。

腰にも1つ予備の拳銃があった。

「あれが使えれば……」

「和也?まさか勝とうとか考えてないわよね?」

「さぁな、どちらにせよ。ただじゃ帰れん」

俺達は小声で話していた。

その時、いきなり着信音がなった。

俺達ではない。

《うるせぇぞ!誰だ!》

怒鳴られて1人の母親が慌てて止める。

「お前か、おうおう子連れで。殺しがいありそうじゃねぇか」

スピーカーを使わずに母親に話しかけた。

「ひっ、お願いします!この子だけは!」

「まだ殺さねぇよ」

そう言ってテロリストの1人は母親から離れて行った。

母親はほっと息をついた。

直後、銃声が響いた。

撃たれていたのは子供ではなく母親。

「子供はまだ殺さないと言ったがアンタを殺さないとは言ってないぜ?」

空気が凍りついた。

「お母さん!お母さん!」

泣きつく子供。

ふと、脳裏をよぎった記憶。

ーーー『母さん!父さん!目をあけてくれよ!なぁ!』ーーー

これは俺の声?

撃たれた母親からは赤黒い血が流れ出ていた。

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!あぁぁぁぁぁ!」

この声は俺。

なんで俺は叫んでいるんだ。

こんな状況で叫んだら俺だって。

「あ?なんだぁ?高校生にもなって他人の死で泣くのか?ギャハハダッセー。いっそお前も死ぬか?」

死ぬ?死ぬのか。

いいかもしれない母さんや父さんに会えるなら……。

いや、ダメだ。正気を保て俺。

裕太や可奈がいるだろ!みんながいるんだ!

「ハッハッ……すいません。取り乱しちゃって」

「次叫んだら命はねぇからな」

さっきの母親が撃たれたのは肩。

出血量さえ多くなければ助かる。

なんとしてでも助けなければ。

何か策はないのか。

そう思い辺りを見回す。

ここは水着売り場。

服なども少しある。

そして隣はスポーツ用品店。

間に壁などはなく、楽に行き来出来る。

あとは……俺の買ったもの。

缶のミートソース、飲料水、可奈の要望で少し時期の早いがスイカ、胡椒、俺の服。

これを駆使して……やれるかもしれない。

コイツらに一泡吹かせることが!

策はある!


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