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いじめを止めるのは偽善者ですか?

さぁて、今日もバイトしに行かなきゃだな。

椅子から腰を上げた。

直後、目の前にいた女子に机を叩かれた。

「須藤和也!アナタ、どれだけバイトしてるの!時間を……ッ!家庭の事情だったわね。悪かったわ」

いきなり怒鳴り始めたと思ったら自己解釈で終わらせちゃったよ。

「アンタは……誰?」

「覚えてないの!?兼染岬かねぞめみさきよ!学級委員の!中学校も一緒だったじゃない!」

ヤバイ、覚えてない。

「ハハハ〜、やだなぁもちろん覚えてたよ?」

「目が泳いでるわよ」

「覚えてませんでした」

俺がそういうと彼女は、やれやれという表情を浮かべて一言言った。

「どんな家庭の事情かは知らないけど、体壊さないようほどほどにね」

「え、お、おう」

なんで俺心配されてるんだろ。

なんか不気味。

「和也〜!かーえーろー……ん?」

「あ、おう。今行く」

可奈の立つ教室のドアへと向かった。

「あの人って学級委員の……兼染さん?」

「あぁ、体壊すなよって言われた。心配してくれてるんだよな?多分」

「へぇ〜。厳しいからクラスでは浮いてるらしいけどね」

お前がそれを言うのか。

いや、俺も人のことを言えないな。

「ま、帰ろうぜ」

「そうね」

俺らは玄関へ向かった。

下校途中

「あっ、スマホ忘れた」

「はぁ?」

どうやら可奈が学校にスマホを忘れてきたらしい。

「しょうがねぇ、取りに行くか」

2人で来た道を辿っていった。

学校の教室についた。

教室ではいじめと思われることが行われていた。

「兼染さ〜ん。ボッチ仲間だった和也君が取られて悔しいの〜?」

「あんなに心配しちゃってさぁ〜。和也が好きなのかなぁ〜?」

男女6人で机にいる兼染をからかっていた。

兼染からは水が滴っている。

その原因であろうバケツも転がっていた。

さすがにやりすぎだろ。

アイツらは馬鹿なのか。

「やめなさいよ!兼染さんが可哀想じゃない!」

あれ?この声の主は〜。

隣にいた可奈がいない。

またやっちゃったよ。

もうちょっとタイミングを計ってから、入ろう。

「あら?これはこれは和也を奪った園木さんじゃーん」

「さっさとやめないと退学にするわよ!一応バカ会長のLINE持ってるんだからね!」

朱音さんを利用するなよ。

先輩だぞあの人、一応は。

てか、いつの間にスマホとってきたんだアイツ。

「おぉー恐い恐い。それじゃ撤退しますかね」

そう言って6人は歩き出し、可奈の後ろへいった。

そして可奈の気が緩んだ一瞬で。

「つーかまーえた」

「ちょっ、離しなさいよ!」

「やだよ〜退学にされたくないもん。いっそのこと、ここで2人とも犯して口封じするか」

「それ名案!」

首謀者と思われる人物に周りは賛同した。

さて、そろそろかな。

「やあ、馬鹿ども。犯されるのはお前らだよ。あ、これは殺すほうな」

可奈を掴んでいる、首謀者らしき人物に言った。

「お前は……須藤!?」

「可奈がいるのに俺がいないわけないじゃん?」

首謀者は舌打ちをして、全員に呼びかけ帰っていった。

「兼染さん、大丈夫?」

「…………たの」

兼染はボソボソと呟いた。

「えっ?」

「どうして助けたの!?私は助けてなんて言ってないでしょ!明日エスカレートしてたらどうするのよ!」

逆ギレに近い。

「え、でも兼染さん濡れてるし」

「だから何!?ふざけないでよ!死ね!死ね!死ね!死ね!この偽善者!」

「…………」

女性に向かって暴力を振るうのは好きじゃない。

けど、堪忍袋の緒が切れた。

俺が真っ先にしたことはビンタ。

思いっきり頬を叩いた後、胸ぐらを掴み怒鳴った。

「じゃあ可奈の勇気は無駄だったのかよ!自分がされる危険性もあったのに助けに入ったんだぞ!」

無我夢中で心の中のもの全てを吐き出す。

「助けてなんて求めてない?ふざけてんのはどっちだよ!そんなの口から出任せだろうが!エスカレートしたら?そんなこと考えてるからこんな結果なんだよ!アンタ学級委員だろ!しっかりしろよ!」

全て言い切った俺は息が切れていた。

でも、現時点で後悔はしていなかった。

「…………そうね。アナタの言う通りだわ。私は学級委員なんてする資格はない。誰かに譲るとするわ」

俺が言いたかったのはそうじゃないんだよ。

「それじゃ」

彼女はバッグを持ち、濡れた制服で教室を出ていった。

「ねぇ、和也。私がしたことって悪いことだったの?」

俯いたまま可奈が口を開いた。

「そんなわけないだろ。お前はいいことをしたんだよ」

「でも!……兼染さんは嫌がってたじゃない」

嫌がってなんかいなかったはずだ。

あのまま続いていても彼女は確実に壊れていた。

「じゃあ、逆に聞くぞ。いじめはなくせると思うか?」

「え、うん。1人1人が意識すればなくせると思う」

「無理なんだよ」

「どうして?皆が」

「人ってのはな、自分と違うものを好み自分と違うものを拒むんだよ」

こんなこと語って……かっこわりぃな俺。

「だから、いじめはこれから未来永劫なくならない。でも、止めることならできるだろ?それを今回お前はしたんだ。強い人間なんだ。偽善者なんかじゃ決してないからな」

「…………そっか、そうね。ありがと和也。帰りましょ」

「あぁ」

俺達はそんな雰囲気のまま1日を終わらせてしまった。


翌日から兼染は学校へ来なくなり、もう一度投票をして騎動一閃きどういっせんという、男子に決定した。

今の俺はあの言葉を後悔している。

けれどもこれも、社会に必要な要素なのかもしれない。

残り297日

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