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弱小で何が悪い!

火曜の放課後。

「はぁ〜、疲れた。帰るか」

「そうね、眠いわ」

午後の授業バッチリ寝てた奴が言うことかよ。

いや、寝てたからこそ眠いのかもな。

「和也ー!!」

すごい速さで朱音さんの登場。

「どうしたんですか?てか、大丈夫ですか?」

めっちゃ息切れしてるし……。

「ええ、大丈夫。それより優希が!」

「優希さんが何か?」

「とりあえず体育館に来て!」

腕を掴まれてそのまま……って、これ前にもあったよな。

確かあの時は屋上だったな。

「ちょっと、和也!」

園木が追いかけてるくるが、どんどん遠くなる一方。

とうとう見えなくなった頃。

ちょうど体育館についた。

「一体なんなんですか?俺はこれから帰るところで」

「いいからこれ、どうにかしてちょうだい」

「え?」

体育館では2面あるうち、片面はバレー部。

もう片面には、女子バスケ部と男子剣道部。

後者はなにやら嫌悪なムード。

「今日は私達が使う日でしょう!?」

女子バスケの部長と思われる人が、男子剣道の部長に抗議している。

「はぁ〜?弱小はなにしても変わんねぇって諦めろよ!どうせ初戦敗退だろーが」

「そ、それは……」

早くも負けた女子バスケの部長。

「それでこれを俺にどうしろと?」

「あそこ、見て」

指さす先には優希さん。

「はい、それで?」

「助けようとか思ってよ!」

そんなに怒らなくても……。

怒鳴られるとは思ってなかった。

「でも、こーゆーのは部活同士で決めるものじゃ」

俺はそこまで言った、その直後に剣道の部長が声を張り上げていた。

「どけって言ってんだよ!勝てない奴らにコート貸す意味なんかねぇだろうが!悔しかったら勝ってみろよ!」

そう言って竹刀をなげた。

俺は部活動の問題なんか関係ない。

でも、竹刀をあんなふうに扱う奴は許せない。

「おい、デカブツ」

「あ?何だお前、助太刀か?かっこいいなぁ。お前でもいいんだぜ?」

ホントにでかいなコイツ。

「須藤しゃん!」

そんなところでは噛まないでほしかった。

「今日は女子バスケが使う日であっているんですよね?コイツらが勝手に入ってきたゴキブリなんですよね?」

「えぇ、まぁ私達が使う日なのは確かよ」

答えたのは部長だった。

「勝手に入ってきたゴキブリはお前だよ、1年」

その言葉を俺は無視し、会長に視線をずらした。

「会長!コイツらってなんか賞貰ってます?」

なければ論破出来るんだが……。

「持ってるわ。県大会優勝」

持ってたのかめんどくさいな。

雑魚の相手は本当に苦手なんだ。

「わかったら帰れよ1年。関係ねぇだろ」

「そうだな。部活には俺は関係ない、でも俺も剣道をしてたんでな。道具を投げるような奴を見逃すわけにはいかない」

「お前そーゆー感じの奴かよ。キモいんだよ」

「キモくて結構。ほら、先鋒から順に来いよ」

1人を残して全員が下がった。

「よろしく〜。君は僕に負けて帰ることになるんだよ。負けた時の言い訳でも考えておきな」

キザっぽい奴。コイツの方がよっぽどキモいと思うのだが。

「そのまま返すぜ」

審判は1年の奴みたいだ。

見たことがある顔だ。名前は知らないが。

そして、試合開始。

相手は一歩も動かなかった。

正確には動かせなかった。

奴が踏み出す時、既に面がきまっていたから。

「弱いですね、センパァイ」

嘲笑う。

人とは自分より下だと思う奴に負けると、感情的になり動きが思い通りにいかなくなる。

2本目

「くっそがぁぁぁぁ!」

叫びながら走ってくる奴の顔はすっかり崩れている。

面。

「隙がありすぎる。カッコつけているだけの奴の無様な姿って快感だよな」

笑顔で言ってやった。

その後も、次鋒、中堅、副将と面だけで倒せるほど弱かったのだが……。

問題はコイツだ。

大将。

俺と同等か、それ以上。

どうするべきか。

「攻めてこないのか?ならコッチから行かせてもらおう」

勢いよく走ってきた。

どこを狙っているんだ……。

いや違う、これは体当たり!?

道着と道着がぶつかる。

重い。

できればしたくなかったんだが、アレを使うしかないな。

もはや厨二の必殺ネタみたいな言い方だが、ほぼそれに近い。

成功する可能性も低く、失敗すれば確実に負ける。

一度しか使ったことのない技。

今度はこちらが突っ込む。

面を狙えば奴は胴狙いでくるはず。

大きく振りかぶった俺に、案の定奴は手を下にした。

奴の竹刀が動き出す直前、重心を後ろへ。

「なっ!?」

奴の竹刀は空を切った。

そして重心を戻す。

いける!

強い面。

「ありえないだろ……そんな技」

「どうする?もう一本やるか?」

実はもう体力がない。

「いや……これ以上やっても無駄だろう」

よかった。次は負けてたな。

「なんの騒ぎだね?」

そこへ女子バスケの顧問が来た。

「いえ、特に何も」

剣道部は道具を全て持って、逃げていった。

俺はやめてくれと言ったのだが、結局顧問に全て話すことになった。

「そうか…そんなことが……ありがとう須藤」

「いえ、俺は別に女子バスケの為じゃないですし」

アイツらの行動にキレただけだから、礼を言われるようなことは何もしてない。

「それで、その身体能力を見込んで頼みがあるのだが……」

「……?頼み…ですか?」

俺がそういうと顧問の教師は頭を下げて、こう言った。

「頼む!コイツらの指導をしてくれないか?あと一週間だが、私では勝てるようなチーム出来ない。頼む」

「いや、そんなことを言われましても」

「須藤さん!私からもお願いします」

優希さんまで……。

しかも噛まないのかよ。

『お願いします!』

部員全員が頭を下げた。

「勝てなくてもいいんです!でも!悔いは残したくなくて……」

部長さん………。

悔い…………ね。

残るのはよくないよな。

俺みたいになっちまう。

「こんなに頼まれて断る奴はクズでよね。やりますよ」

『ありがとうございます!』

全員で一斉に礼を言ってきた。

まだこれからなのにな。

「和也、アンタ指導なんて出来るの?」

「あっ、そういやバイトあるじゃん」

忘れてたよ。

一番大事だよこれ。

「いいわよ別に。家に居ても暇だし」

お前はな。

ま、いいか。引き受けちゃったわけだしな。

「俺は甘くないですよ!しっかりついてきて下さいね!」

『はい!』


それから、一週間はあっという間だった。

大会当日。

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