生活の変換点
ーーー翌日夜8時
今日は面接のことばかり考えていたから
学校は早かったように感じる。
まあ、そんなことはいいのだが……
「はぁ〜、緊張して1時間も早く来ちまった。遅刻よりはいいか……」
とは言ってもあと1時間は来ないしな。
どうすっかな、この時間。
ん?なんだあの人コッチに手振りながら走ってくるけ…ど。
胸デカッ!
めっちゃ揺れてるじゃねぇか、ハナヂデソウ。
じゃなくてっ!雇い主かもしれないからな。
「こんばんは、園木さんですか?」
「えぇ、ということは須藤さんですね?」
「はい。1時間早く来てしまって……」
「へ?1時間早くって……あーー!」
あ、この人は9時だと思って来たんだな。
「はぁぁ〜」
デカイため息…幸せ逃げるぞ。
「あっ、でも2人とも早く来たんですし、
色々出来ることが増えますね!」
「あ、はぁ…」
強引。間違ってはいないが……。
「じゃあ、私についてきて下さい」
「はい」
どんな面接会場で、どんなこと聞かれるんだろうか……。
不安と緊張で変な気分だった。
それから10分程度歩いただろうか。
豪邸が見えていた。
「着きました!ここが今日からあなたの職場です!」
彼女の指の先には、さっきから見えていた豪邸。
「デカッ!え?職場?面接とか経歴とかは…」
「ありませんし、いりません!」
「はぁ……」
だいぶテキトーな職場だが…家からして30万は嘘じゃなさそうだ。
「ささ、入って下さい」
「お、お邪魔します」
「可奈ー!新しい召使いの人よー!」
「はぁーーい!」
ん?どっかで聞いたことあるような声……。
ドタドタと階段を降りる音が聞こえた。
「こんばんはっ!私、園木可奈っていいます。この家の………って、あぁーーー!」
「え?あ、申し遅れました。須藤和也です
今後よろしくお願い致します」
「は、はぁ?あんた何言ってんの?私よ!学校で隣の席の!神鳴高等学校の!」
何言ってるんだ、この人……学校?って
「あぁーーーー!!」
「思い出すのが遅い!」
こいつは!
「スタイルよくて顔もいいのに、性格がすっげぇ悪そうなお嬢様キャラ!」
やべっ、つい本音をっ……。
「なっ!はぁ!?あんたそんなこと思ってたの!?」
「あ、いやそーゆーわけじゃ……」
「じゃあどういうわけよ」
答えることすら出来なかった。
「サイテーね。お母様こんな奴クビに……」
「あらあら、仲がいいのね」
『よくないっ!!』
ニコニコしているお母さんに対し、息ピッタリで反論してしまった。
「息もピッタリ、なかなかいいコンビね。うふふ」
くっ、このお母さん完璧に誤解してる…。
「私の真似しないでよ、さぁ帰りなさい。あんたはクビ」
「なっ、コッチだって生活かかってんだよ!
そんな簡単にクビにされてたまるか!」
裕太のためにもこのバイトに就かなきゃ困るんだよ。
「あんた仕える相手にあんな失礼なこと言ったのよ?クビにならないわけがないでしょう?」
言えることもない。なら!
「すいませんでしたぁぁ!!」
こんな奴に頭下げたくねぇけど!
裕太のため、裕太のため
と、自分に言い聞かせた。
「あ、あんたプライドとかないわけ?」
ある!あるけども……。
「男の子が簡単に頭を下げちゃだめよ。あなたは私が選んだんだから採用です」
「あ、ありがとうございます!」
このお母さんでよかった。
女神に見える。
「でもお母様っ!」
「可奈?あとで私の部屋に」
「採用です!では、失礼します!!」
猛スピードで部屋に戻っていった。
このお母さん……実は怖いみたいだ…。
「お見苦しいところをお見せして申し訳ありません。では、明日からよろしくお願いしますね?」
「は、はい!精一杯働かせていただきます!
こちらこそよろしくお願いします」
今日この日この時間、限界ギリギリだった俺の日常に終止符が打たれた。




