魔法少女☆ミルキースイート~わたし、まほうしょうじょになるの?!~
「…魔法少女? は? はぁ?」
目の前に突然現れたスマホは機械交じりの声でずっと自分に魔法少女になれとずっと迫ってくる。何ていうかその繰り返し。つーか何でスマホ。普通可愛らしくてゆるきゃらっぽくてほわほわっとしたヤツが魔法少女になれって言うのなら分かるけど何でスマホ。近頃の魔法少女業界はあれか? 過疎ってんのか?
…ちなみに自分の名前は城ノ内弘行。正真正銘の男のクセに何で魔法少女。それなら魔法少年に改名しろよ…自分は女装でもすんのか? いやいや流石に異世界ファンタジーに人が流れ過ぎて皆異世界に行っちゃって人手が足りないとかで魔法少女界に定評があっても流石に少女を貫けよ。確かにこの世界にはもう殆ど美少女いないけど! 異世界に流れちゃったけど! 確かに俺の親友の佑一だって異世界に飛ばされちゃったけど! …いや確か佑一、最後に会った時『俺、トラックに轢かれてくるわ。俺、今死ぬ運命じゃないから! 神が俺を異世界ハーレムに…』とか意味分からないこと抜かしてたけどさ…あの一言ってマジなんかね? マジで異世界言ってたら俺もトラックにひかれて死んでみようかなとか考えたけど考えたけど…今こんな状況かよ! 魔法少女になれってか! くっそ! 何なんだよ!
「…魔法少女、ならなきゃだめか」「あぁ」「マジで」「過疎ってるから」「………なったら何がある」「セーラームーンみたいに子供受けはとてもいい」「つかお前誰だよ!!!」いつの間に後ろに現れたタキシード姿のハット帽被って手には赤いバラ? ん? マント? なんか見覚えが――――。
「お前かよ!!!! だからセーラームーン出たのかよ!!!」「…確かに私は今となっては―――――」「魔法少女にお前がなればいいものの…」「流石にそれは駄目だと魔法少女連合会からお叱りを受けた」「…自分しかいないって?」「そういう事だ」
俺は改めて自分の服を見直す。
カレーうどんをこぼして少し黄ばんだワイシャツに緑色のネクタイくたびれたズボン。……こんなだらしない格好の自分が魔法少女になれるのか? 子供たちに夢を与えられるのか?
「……やってみたら、いい」そうだ、当たって砕けろだ。やってみるしかない。
「へぇええええええぇええんんんんんしぃいいいいいぃいいんんんんんんん!!!!!!!!!!」
パァッと広がるピンクの光、瞬く間に自分の躰を包み込む、くるぐるくるぐるくるぐる。
少し経った後、自分の服を改めて見直す。
とっても可愛いフリルがいっぱいのピンク色のスカートに胸元には可愛らしい大きなリボン。
「…魔法少女止めます」と言って自分は手にあった魔法ステッキを圧し折った。




