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Sense And Madness Online  作者: 一二 三四五
◆第一章
8/50

 瀕死の重傷を負って(自爆5割だが)ゴブリンを倒した俺はみんなから回復POTを貰って回復して、狩りに戻った。『拳』センスと『軽装備』センスを買ってもらったうえに、回復POTをもらったので、更に申し訳ないという気持ちになったが「初心者には当然の事さ」と笑顔で言われたので気にしないことにした。


 それから30分ほどゴブリンを狩っていると、俺は冒険者Lv10になった。冒険者は最初のジョブで、Lv10になると他のジョブに転職できる。シン達は効率的に狩っているのか、俺がLv8になる頃にはLv10になっていたが俺のために初心者の平原に残ってくれていた。


 このゲームではレベルアップ毎にポイントを振り分けるでもなく、ランダムに成長するでもなく、冒険者Lv10までLvが1上がる毎に貰えるステータスポイント90Pポイントと最初の30P、合計120Pをステータスに割り振って基礎能力を決める。……正確に言えば、最初から割り振られている8Pと合わせての128Pらしいが。


 そして基礎能力は、10P毎にレベルアップ時のレベルボーナスが+1される。10Pならレベルアップで+1、20Pならレベルアップで+2、という感じだ。9P以下であればレベルボーナスは無い。

 ……俺はと言うと、「各ステータスに10振って、好きなステータスに4つに10ずつ振れ」と言うシンの言葉を「各ステータスに10ずつ振って、余ったポイントを好きなステータスに振る」と勘違いしていたためSTRとAGIが20で他が14だ。


 AGIはLv9になった時に「このままだと10しか余らねえ!」と焦っていたら怒られて、この数値だとどう振っても2つ以上のステータスを20にするのは無理なため、シンに「TGHかAGIどっちかに10振れ」と言われたので、俺はAGIに10振った結果だ。その時ハムとアカリは苦笑いしていた。

 どうやら、このゲームではまだ基礎能力を振りなおす類のアイテムは出ていないらしい。つまり俺は気付かぬ内に、大変なことをやらかしていたのだ。しかし、正式にサービスが開始されれば、課金通貨|(現実のお金を払って買えるゲーム内通貨)で買うことができるようになるかもしれないが。


 次にすることは転職だ。このゲームでは転職条件を満たしていれば、いつでも好きなジョブに転職できる。転職条件は、町にいる転職試験官のNPCに話しかけることで受けれる転職クエストをクリアさせる、というものだ。


 さらに、ファイターやマジシャンのような下級ジョブはLv100になると、中級ジョブのウォリアーやウォーロック、専門ジョブのソードファイターやレッドマジシャンに転職できるようになる。

 他にも、ファイターとマジシャンがLv100だと複合ジョブのマジックファイターに転職できるなど、ジョブとジョブを組み合わせることもできる。勿論、どれであろうとも転職クエストをクリアする必要はあるが。

 ……こういった仕様から、cβ時代から「クリアするのに百年かかる」とか言われていたらしい。


 丁度12時頃だったので、転職兼お昼の休憩をするために町へと向かった。SaMoの時間は現実とリンクしているので、こういった時に便利らしい。

 もっとも、夜限定のモンスターもいるので、中学生には辛いとアカリはこぼしていた。



――始まりの都『アガレス』 転職の館


 町に来るのは初めてなので、はぐれないようにシンについていく。しばらく歩いて『転職の館』という所に着くと、シンが話しかけてきた。


「とりあえず、だ。お前は格闘家に転職しろ。と言うかそれ以外に道は無い」


 アカリやハム曰く、生産職という道もあるらしいのだが、俺のステータスでは生産職に向かないらしい。

 生産職はステータスポイント120全てをDEXに振った生産特化型と呼ばれるものを一流と呼び、後は二流三流らしい。

 俺は万遍なく振り、さらには28P無駄にしてしまったのだから『魔法少女』や『無刀流』の5倍になるという効果があっても、おそらく三流以下だろう。


「わかった」


 これには頷く他無い。しかし、館の隅にいる上半身裸の筋肉男がこわい。どこの特殊部隊員だよ。アレが転職試験官だとしたら俺は全力で拒否したい。


「あれは格闘家の専門職、と言っても事実上の上位職であるコマンドの試験官だ。今は気にせず、その隣の道着のにーちゃんに話しかけろ。俺達もその間に転職試験受けとくからよ。試験終わったら、転職の館の前のパン屋に集合な」

「ああ、助かった」


 本当に助かった。よくよく見ればあの筋肉男の陰に道着のお兄さんが見える。道着のお兄さんは決して小さくない。あの筋肉男がデカ過ぎるだけなのだ。

 シン達はそう言うと転職試験官の方に向かって行った。シンとアカリがなるファイターの転職試験官はヘッドギア付けた黒髪のおっさんで、ハムがなるマジシャンの転職試験官はいかにも魔術師といった感じのとんがり帽子のお爺さんだ。

 俺もさっさと転職試験を受けてこよう。



「すみませーん」

「オッス! 俺は格闘家転職試験試験官だ! 何の用だ?」


 この暑苦しく、「オッス!」と言いまくるのが転職試験官のようだ。この上なく暑苦しい。しかしここで怯んでいたらいつまでも転職なんてできない。


「転職試験を受けたいです」

「オッス! 格闘家になりたいのか。格闘家とは拳で敵を倒す職業だ。極めれば大岩を砕く事も容易いぞ! では、ゴブリンを狩り、証拠としてゴブリンの証10個を俺に差し出すのだ!」

「はい、わかりました」

「オッス! 格闘家の道は長く険しいが、この試験は乗り越えれば必ず君の力になるだろう!」


 ゴブリンの証とは、ゴブリンが首にさげているネックレスの事だ。転職試験に必要なアイテムなので、表で100ゴールドくらいで販売している。俺は事前にシンからゴブリンの証を渡されているので、すぐにでも転職できる。


「オッス! どうだ、狩りの調子は!」

「ゴブリンの証集まりました」


 というか、最初から持ってます。ちなみにこの転職試験、簡単だと思うだろうが、1人でやると意外と難しい。ゴブリンは基本的に集団でいるからだ。

 ゴブリン5体を1人で狩るのは難しいし、俺でも魔法を使って2体を相手するのがギリギリだ。

 なのでcβ参加者は、初心者の平原に行く前にPTを組んでから行くそうだ。

 もちろんゴブリンよりも弱い敵もいて、本来ならその弱い敵を狩ってレベルを上げてからゴブリンに挑むのが正しい道らしいが……cβプレイヤーの間ではPTを組んで狩りに行くというのがテンプレと化しているそうだ。


「オッス! 早いな! お前には格闘家の才能センスがあるようだ! おめでとう! これでお前も今日から格闘家だ!」


 そうして俺はゲーム初日の午前中に格闘家に転職した。

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