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Sense And Madness Online  作者: 一二 三四五
◆第四章
43/50

 それを見送ったタタルは、ばつの悪そうな顔をしてこちらを振り返って謝り、どうしてこうなったのか語りだした。


「悪かった。うちのお姫さんは少し焦りがちでね……うちも、元々は大きなレギオンだったんだ。cβ時代にオーレが『鍛冶屋』で成功してな。それで今度はスタートダッシュのためとか言いやがって、最初から『鍛冶屋』選びやがったんだ」


 その言葉に反応するように少年が声を出す。よく見たら獣耳らしきものが付いているな。……まさかな。


「確か、最初は『調合師』で道具を作るのが良いんですよね」


 タタルは少年の言葉に頷き、続きを語る。


「ああ、めいびいの言うとおりだな。序盤に道具で安定してきたら料理、鍛治は戦士系でSTRを上げてから、が定石だ。……それなのに最初から『鍛冶屋』選んじまってな。それで結構人が抜けた。80人もいたのに、残ったのは初期メンバーの10人だ。……それで焦って資金集めに奔走したがダメダメ。レギオンは作れたが、維持費でその日暮らしがやっとだ。そんな時にログアウトもできなくなって、死ぬ事の恐怖で2人リタイア、死んだ痛みが辛くて3人リタイアだ」

「……大変だね」


 どうやらこの少年はメイビイという名前|(メイビーや、メイビィかもしれないが)のようだ……っとそんな事はさて置き、最初の職業を間違えただけで70人も抜けたのはさすがに抜け過ぎだと思う。

 他にもオーレの性格が原因で抜けた人がいるんじゃないかと邪推してしまう。


「それで残ったのは俺とオーレとマホージンと、後二人ってわけだ。それでまた焦って、大々的に募集したんだが、オーレが『鍛冶屋』に転職した印象もあるんだろう、あまり人は集まらなくてな。あいつなりに落ち込んでいたよ」


 75人も抜ければそれはさすがに誰だって落ち込むだろうな。あの馬鹿っぽさの裏には、そういった悲しみとかも含まれているのかもしれない。……でも、これがどうして「死んでこい」に繋がるのか分からない。


「それに、入ったものの死んでリタイアした奴もいてな、それで今日から質問に『死んだ事はあるか』と『死んでも大丈夫か』ってのを加えたんだが……結果はタタリは見ただろうが、統合したのか簡略化したのかは本人に聞くまで分からないが、『死んでこい』に繋がったわけだ」


 つまり、人不足に焦って端折った結果が「死んでこい」って事か。……それで人が入らなければ本末転倒だと思うのだが、そこまで考えが及ばなかったんだろう。



「……そういえば、オーレさんって猪川いがわさんなんだっけ……。不安にもなるよね、分かるよ、その気持ち」

「おう、残ったメンバーには飛田ひだ明石あかしもいるぞ。しかし、まさか秋葉あきばがSaMoをやっているとは思わなかったな」

「ははは、僕も、まさか御剣みつるぎがやってるとは思わなかったよ」


 落ち込んだ空気から一転、メイビイとタタルは笑いあった。本名はそんな気軽にバラしてもいいようなもんじゃなかった気がするが。……それに、御剣や秋葉という名前をクラス名簿で見た気がする。

 さっきからまさかの連続だが、まさかクラスメイトじゃないだろうな。一応聞いて、違ったら忘れてもらえばいい、はずだから聞いてみるか。


「二人共……もしかして、1-Bいちねんびーぐみ?」

「そうだが……ちょっと待て、タタリも実はクラスメイトか? ちなみに俺は御剣みつるぎ たけるだ。名前は?」


 ……それだけでフルネームを言う必要があるのだろうか。しかし俺だって伊達に委員長をやっていたわけじゃない。先生に代わって出席を確認したこともある。俺の記憶に御剣 猛という名前は確かにある。名前を尋ねられたし、クラスメイトとはいえ知り合いだ、名前を出しても問題は無いだろう。


漆原うるしばら たかしだ」

「ん……知らんな。身体的な特徴は?」


 ……ああ、きっと身長が高くて顔が見えなかったんだろうな。普通は見上げなきゃれば見えないだろうし。きっと視界から見切れていたんだろう。よく渾名でも呼ばれたし、俺の影が薄いとか、そんなことはきっと無いはずだ。


「黒髪で身長が高かったな」

「よく思い出せんな……他には」


 ……他、他か。しいて言うなら眼鏡だろうか。顔が見切れていたなら見えないはずだが……いや、まさか眼鏡で覚えられてないだろうな?

 男子は俺以外眼鏡をかけていないし……。とりあえず言うだけ言ってみるか。


「眼鏡をかけて――」

「「委員長か!」」


 二人の言葉が重なる。やっぱり眼鏡で覚えてたのかよ。

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