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Sense And Madness Online  作者: 一二 三四五
◆第四章
41/50

「そうか、じゃあまず名前を教えてくれ。俺の名前はT・A・T・A・R・Uでタタルだ。【ORERA】の副団長サブマスターをやっている。途中何度か確認のために間を空けるが、気にしないでくれ」


 ああ、もう成るように成れ。まず、最初に名前を聞かれる。……いや、まあ当然か。死んでこい云々はさっきのオーレと呼ばれた茶髪の女が幾つかの質問を端折った結果なんだろう。

 それにしてもタタル、か。先か後かはわからないが、俺が登録しようとしていた名前をこんな所で見かけるとはな。……いや、きっと先なんだろうな。さっきの人もcβとかなんとか言ってたし。


「T・A・T・A・R・Iでタタリです」

「ああ、例の初心者君か。試験に合格したらよろしくやっていこう」

「……はい」


 例のって、やっぱり地雷とかのアレだろうか。……まあ、もう掲示板で大々的に書かれてるからな。


「入団試験と言っても簡単なものだ。そんなに緊張しなくてもいいぞ。まず初めに、現在のセンスレベルを言ってくれ」


 センスレベルは竜の洞窟で無様にやられたとはいえ何発かお見舞いしたし、変わっているかもしれないので念のためにステータス画面を開いて確認する。お、『拳』が上がってる。


「……『格闘家』レベル38、『拳』レベル18、『軽装備』レベル14、『投擲』レベル7、『釣り』レベル1、『料理』レベル3、『無刀流』……レベル表示無し、同じく『魔法少女』もレベル表示無しです」

「うん、ジョブセンスレベルはそこそこあるな。センスの構成とかは、うちはそういうのは大して気にしないから、タタリも気にしないでくれていいぞ」

「は、はい」


 今までの反応が異常だったのかと思うほど、タタルは言葉通り大して気にしていないようだ。人見知りなのをどうにかすれば、俺でもこのレギオンでやっていけるかもしれない。希望が少し湧いて出る。


「……次に、ゲーム内で死んだことはあるか? 当然、ログインできなくなってからの死だ」


 先ほど見せていた笑顔とは打って変わって、タタルの表情が真剣になる。これがあの「死んでこい」に繋がる質問だろうか。竜の洞窟で丸のみされて死んだ事があるし、ここは頷いておけばいいだろう。


「はい」

「じゃあ最後に聞いておくが、うちはレギオン戦に参加したり、メンバーだけでボス狩りしたりもするレギオンだ。撤退戦の殿しんがりやボス狩りでの囮、敵地への偵察及び制圧等、運が悪ければ死ぬ機会もある。これについて、納得してもらえるか?」


 さっきの茶髪の女が端折ったのはこれだろうか。確かに内容としては近いが、これが「死んでこい」に繋がるのは……先ほどの質問の証明行為としてだろうか。いや、それでもどうかとは思う。

 それはさておいて、こういった内容なら、まあ、なんとか納得できる。少なくとも「死んでこい」と言われるよりは。


「……はい、大丈夫です」

「よし、採用だ。入団おめでとう。これからよろしくな」


 タタルがそう言うと、俺の体が一瞬だが光り輝いた。……レギオンに入団した時のエフェクトだろうか。いきなりでびっくりした。


「よ、よろしくお願いします!」


 ……それよりも、本当に「死んでこい」は端折った結果なんだろうと思うと、あのオーレって人は少し不安だ。考えてみればレギオンの名前にも入っているし、団長レギオンマスターかもしれない。……もしそうだとしたら、大丈夫なのかこのレギオン。

 とにかく俺は、無事レギオンに入団することができた。他のレギオンメンバーと馴染めるか不安だが、ギガントの言うようにどんどん話しかけていけばきっと大丈夫……だと思おう。



「じゃあ早速他のメンバーの前で自己紹介してきてくれ。俺は後一人来る予定の入団希望者の試験が終わったらそっちに行くから。ああ、俺の事は副団長でもタタルでも好き呼んでくれていいぞ」


 そう言ってタタルは、実は本当に団長レギオンマスターだった、OREオーレが向かっていった方向を指さす。さっきはよく見ていなかったが、そこでは7人ほどの男女が仲良さ気に話しているようだ。

 タタルの方を振り返るが、馬車の方を見ていて俺の視線に気がつかないようだ。……仕方なく、その方向に歩いていく。うう、心細い。

 そしてその7人の内1人――オーレが俺に気付いて、手を振りながら歩いてくる。……すごく不安だ。何を言われるか分からない。


「合格おめでとう! 早速だけど入団費10000ゴールド、それと今日の集金分の50000ゴールド、計60000ゴールドよろしく!」

「……え?」

「え?」


 そう言ってオーレは俺に掌を差し出して来た。……入団費?集金?……え?

 俺の思考はオーレが放った言葉により、止まった。

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