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Sense And Madness Online  作者: 一二 三四五
◆第三章
34/50

 ベッドで気持ち良く横になっていると、複数の足音が聞こえてきた。おそらくギガント達だろう。起き上がってベッドに腰掛ける。


「おかえりー」

「遅くなってすまな――」


 ガチャリと扉を開け入ってきたギガントに軽い挨拶をするが、ギガントは俺を見た瞬間、廊下に戻りガチャリと扉を閉めた。廊下では話し声が聞こえる。どうかしたんだろうか。しばらくすると、扉が2回ノックされる。


「……タタリ」

「なんですか?」

「服を着ろ」


 その言葉にハッとして今の自分の恰好を見る。肩にタオルをかけているだけで、魔法少女服も外套も着ていない。つまり――全裸です。


「ぎゃあああああ!」


 本日2度目の叫び声を上げる。最後の砦ギガントに対しても、よりにもよって自分の不注意で裸を晒してしまった自分を笑いたくなる。このメンバーで俺の裸を見てない奴はもういないぜ!ハハッ……はぁ……。

 その最後の砦さんはさっきと同じように扉を2回ノックして言ってくる。


「服を着たら、そっちから扉を開けてくれ」

「……すみません」


 急いで魔法少女服を道具袋から取り出して着る。外套は穴があいているからやめておいた。そして扉を開け、ギガント達を中に入れる。今回ばかりは俺の不注意のせいだ。ギガントは悪くない。そのことについて改めてギガントに注意される。


「気を付けてくれよ、お前は女なんだから」

「俺元男なんだけど……」

「……思い出させるな、気持ち悪い」


 失礼な。俺が男の姿で部屋に居たとしても……ダメだな。リンゴやウィンディが先に扉を開けていたら社会的に抹殺されかねん。全裸で肩からタオルをかけてベッドに腰掛けている男……変態だな。先に扉を開けたのが男性陣だとしてもホモ扱いだろうぜ。



 部屋でのんびりしていると、『竜の洞窟』で何があったかギガントが聞いてきた。


「それで――どうだった? ドラゴン相手に一矢でも報いたか?」

「ああ、怯ませることができた。ラッキークリティカルってやつだったけどな」

「タタりん凄い! ギガントでもダメージ与えるのが精一杯だったのにね!」

「おいおい、俺も今やればできるかもしれんぞ?」


 リンゴが大きな声で称賛してくれる。その横ではギガントが苦笑している。俺としては倒したかったんだが、それでも褒められるのは嬉しい。自然と口角が吊り上る。


「ああ、それと、中に居たのはドラゴンじゃなくて恐竜だったよ」

「……まあ、一応竜やけど、恐竜やったら騙された気分にもなるわな」


 エレアが賛同してくれる。まったくだ。魔獣の森で出てきたグリフォンと違って実際に居ると言われている恐竜が出てきたのだ。一気に現実に戻されて騙された気分になる事は間違ってないと思う。……いや、恐竜も大昔に絶滅してもう居ないし、ある意味ファンタジーか?


「ところで、俺にテル送ってきた時は不機嫌だったようだが、何かあったのか?」


 ああ、そういえば宿屋に来る前は丸のみされた恐怖や体当たりされた時の激痛で精神的にまいってたからかなり荒れていたな。


「……いや、普通に死に戻りだ。体当たり食らって気が動転して、そんで丸のみされた」

「丸のみ!? タタりん大丈夫なの!?」

「ああ、今はもう落ち着いてるし、大丈夫だ」


 虚勢だが、心配そうな顔を浮かべるリンゴに笑って返す。


「それなら立ち直れるかどうかはお前次第だが……、その心配も無いか」

「ああ、デスゲームじゃないって事を身を以て確認したし、逆に心が軽くなった気さえするよ。……まあ、もう死に戻りしたいとは思わないけどな」


 ギガントはそれはそうだと笑い、俺もそれにつられて笑う。

 その後も洞窟での事や、次のダンジョン、『砂の大海原』について話した。次は砂を泳ぐ魚や巨大サソリ、奥地では砂のゴーレムや更に巨大な魚が出るらしい。これがアカリの言っていた『虫を素手で潰せる?』ってやつかな……。出会ったら素直に魔法使って倒そう。それに魚が出るなら、俺の『釣り』センスを活かせる時が来るかもしれない。湿地帯ではなんだかんだで使ってなかったしな。

 その更に奥にあるダンジョン『古の樹海』では、景色がガラリと変わり、入口から巨大な虫が飛んでいる樹海に出るらしい。



 話も終わって夜も更けた頃、ギガントが話を切り出してきた。


「ところでタタリ、話があるんだが」

「ギガントーこういう時は――」

「悪いなリンゴ、例の真面目な話だ」


 ギガントはリンゴの口を手で遮って制止させる。リンゴは納得したような顔で後ろに下がる。例の真面目な話ってなんの事だろう。俺のいない間に何か話してたのかな。ギガントの顔は真剣そのものだ、重要な話なんだろう、ベッドの上に正座して話を聞く。


「なに、話と言っても一言だ」


 ただその一言は続けて言ってくれない。その一言を今か今かと気を引き締めて待っていたが、その言葉を聞いた瞬間、時が止まったような感覚がした。


「タタリには悪いが、明日の朝にPTから外れてもらう」

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