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Sense And Madness Online  作者: 一二 三四五
◆第三章
30/50

 ステータス画面で現在レベルを確認する。『格闘家』レベル28、『拳』レベル15、『軽装備』レベル10、『投擲』レベル7。この『拳』レベルだと『強打』で殴ったらやばいかな……。


「『ヒール』」

「お、回復してくれるんか。ありがとさん。いやー、さっきのは眼福やったわーぐごお!」


 『ヒール』で回復した後に普通に殴る。狙いは顔面ど真ん中。


「ごめん。どうしても殴らないと気が済まなかった」

「やば、い、死に、そうなくらい、痛い。ちょっと『ヒール』かけてく、れ……」

「『ヒール』」

「……ふー。軽く臨死体験した気分やわ。こちらこそすまん。見たりして悪かったな」

「忘れてくれれば気にしない」

「あれを忘れるのはなあ……」

「殺すぞ」

「なんでウィンディやねん! ……はー、まあ思い出さんようにはするわ」

「思い出したら次は『強打』な」

「あれ『強打』やなかったん!?」


 エレアが驚いている。……まあ、俺も驚いてるよ。普通に殴った一撃が臨死体験させるほどに強かったんだから。



――『トカゲ湿地帯』 奥地


 エレアを殴った後、少し歩いたら奥地へたどり着いた。マップが切り替わる境界に近かったらしい。マップが切り替わると言っても、メニュー画面で確認できる地図では、ダンジョンだと現在いるところの名前しかわからない。

 ゲーム攻略サイトでよく見るような細かい地図マップは魔法の地図というアイテムを使用するとわかるようになる。その魔法の地図は道具屋で1個10万ゴールド。使用すると無くなる消耗品だが、メニュー画面の地図から確認できるようになる。

 勿論、初心者の俺にはそんな金も無いため細かい地形は目で見て覚える他に無い。が、ギガントはその魔法の地図を使っているため、奥地やその更に奥までもスムーズに行けるという訳だ。俺の狩りはギガント達に依存してると言ってもいい。ギガント達がいなかったら、きっと今頃動物の森で兎や鼠を狩っていただろう。


「ここから先はリザードソルジャーやリザードメイジが出る。どちらも強力なモンスターだから気を付けてくれ。少しずつ進んで『竜の洞窟』を目指すぞ」


 『竜の洞窟』というのはこの『トカゲ湿地帯』の奥地の奥にあるダンジョンで、魔獣の森と同じように超強力なモンスターが出る。……洞窟の竜って土竜(もぐらではなくどりゅう)とかだろうか。ギガントを先頭に、ゆっくり歩いていく。


「ところでレベルは今どれくらいだ。俺は32」

「私も32だな」

「私は31だよ」

「ワイは28やな」

「俺も28だ」

「これならなんとかなるだろう。作戦だが、リザードソルジャーに出くわしたらまずリザードメイジを狙え。タタリは……服が破けない程度に、リザードソルジャーを引き付けておいてくれ。倒せるなら倒してもいい」

「『剛拳』使って『強打』2回叩き込めば多分倒せると思う」

「心強い回答ありがとう。もし倒せたら加勢してくれ。とはいえ一人で全部倒されたらかなわん、魔法で援護してくれ」


 まともに殴れるVITがあって、高いSTRと育ってきた『拳』があるから、多分普通に殴っても倒せると思うけど。



 沼をゆっくりと奥に向かって進んでいく。すると沼の中からリザードソルジャーが現れる。構成はリザードソルジャー2体に、リザードメイジが4体。……2体相手はキツいかも。


「作戦通りに頼むが、無理はするなよ」

「了解。『剛拳』!オラァ!」


 『剛拳』でVITを上げ、『強打』をリザードソルジャーの頭に叩き込む。一撃で地面に頭を減り込ませて倒れるリザードソルジャー。驚く俺。驚くギガント。驚くリンゴ。青褪めるエレア。


「……そのまま2体目も頼んだぞ」

「……了解です」


 ギガント達は作戦通りにリザードメイジを攻撃する。俺は続けざまにリザードソルジャーを通常攻撃で殴る。リザードソルジャーのHPが一気に半分ほど減る。……『強打』1回、通常攻撃2回ってところか。我ながら攻撃力の高さに痺れる。『無刀流』と『拳』は、揃った段階で他のセンス並、育った段階だと凌駕するんだと思う。『強打』でエレア殴ったらバラバラに引き裂かれるんじゃないかな……。

 リザードソルジャーの剣を左手で受け止め、右手で殴って倒す。魔法少女服の破損部位だが、食らった部位の近い部位が優先されて破損するため、左手で受け止めれば左手の手袋が少し破ける程度で済むみたいだ。


「『ヒール』」


 とは言え、さすがに何度も食らえば左腕だけじゃ済まなくなるので適度に『ヒール』で服を直す。ギガントの方を見るともう既に1体倒し、2体、3体目を攻撃しているようなので、4体目に向けて魔法を撃つ。


「『クリアブレット』」


 青い光の弾はリザードメイジに当たるとHPの1/4ほどを減らす。反撃といったところか、こっちに向かって魔法――水でできた弾を飛ばしてきた。左手で受け止めるが、剣の時よりも破れる面積が大きい。ああ、そういえば魔法防御は上がらないんだったな。

 魔法を唱えた隙にリンゴがリザードメイジの頭にハンマーを振り下ろして残ったHPを削りきる。どうやらもう倒し終わったようだ。


「……全力で思い出さないようにします」


 エレアが敬語で宣言する。俺も『強打』で人を殴るのはやめておこうと思う。

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