3
「『剛拳』! オラァ!」
『剛拳』を使ってVITを上げ、先頭を走るリザードマンの頭に『強打』をたたき込む。予想通り、リザードマンは一撃で倒れた。弐連拳はもう封印か。近くにいたリザードマンも続けざまに『強打』で殴り倒す。
「ぐっ」
攻撃後の隙を突いて1体のリザードマンが爪で切りかかってきて、回避も防御もできずにまともに食らう。しかし思ったほど痛くない。そういえば、この魔法少女服って防御力が凄いんだったな。切りかかってきたリザードマンの後頭部を『強打』で殴り、隣のリザードマンを『強打』で殴り倒す。
「『剛拳』!」
目の前には10体ほどのリザードマンの集団。『剛拳』をかけなおして、『衝撃』を当てながら集団の中に飛び込む。飛び込んだ時にリザードマンから切りかかられたが、やはりたいして痛くない。肌を軽く引っ掻いた程度の痛みだ。即座に近くのリザードマン2体の頭を『強打』で殴って倒す。
いける!続けて2体、更に2体のリザードマンを『強打』で頭や腹を殴って倒す。何体かのリザードマンに切りかかられもしたが、気にならない程度の痛みだから我慢するまでもない。遠くから『シャインブレット』と『ファイアブレット』が飛んできて、2体のリザードマンの頭を吹き飛ばす。おお、グロテスク。
残り2体。既に集団とも呼べなくなったリザードマンを『強打』で殴って倒す。残り1体。しかし、その時後ろからギガントが大きな声で呼びかけてきた。
「タタリ! スカートが破けてるぞ!」
……はい?
◆
残ったリザードマンを『強打』で殴り倒し、少し離れて自分の姿を確認する。ギガントの言う通り、スカートが破れてスパッツがまる見えだ。……もしかしてあの特殊効果のせいだろうか。いや、それしかないだろうけど。服が破損するって……ひょっとしてHP0だと全裸……?
「タタリー! 足元ー! 足元ー!」
今度はエレアの声が耳に入る。足元の方を見ると、大蛇が足に巻き付いていた。
「ってうわー! 巻きつかれてるー!」
「今頃気付いたんかい!」
大蛇は足を締め上げながら体を上ってくる。締められてHPが減っているのだろう。痛みはあまり感じないが、スカートがどんどん破けていく。……ついにはスパッツも破れ、パンツが晒される。
「ぎゃあああああ!」
「大蛇GJ!」
「助けろバカー!」
「『ヒール』!」
慌てて外套で体を隠す。そしてリンゴが俺に『ヒール』をかける。するとスパッツがまるで元からそこにあったのかのように元に戻る。スカートも少しだが元に戻っている。そして足元の大蛇に『ファイアブレット』が当たり、俺は解放された。
「もう少し早く助けてくれれば良かったんだけどな」
「ごめんね、遅くなっちゃって。『ヒール』」
続けざまにかかった『ヒール』でスカートも完璧に直る。……迷惑な仕様だ。
そしてリンゴの『ヒール』の回復量の少なさを実感する。STR重視の弊害ってやつかな?
◆
「『剛拳』!」
『剛拳』をかけなおし、再度リザードマンの集団に突撃する。今度は攻撃よりも回避を重視して『衝撃』は使わない。今度の集団は8体ほど。一撃離脱を心がけ、『強打』で殴った後は回避できるようにいったん下がる。リザードマンが切りかかってくるが、少し下がって回避しようと、後ろに跳――ぼうとしたら転んだ。
「うおおおお」
地面に頭を打ち付け、のたうちまわりつつ、リザードマンから離れる。痛い。すごく痛い。沼地だからのたうちまわれば体にベチャベチャと泥も付く。
「タタリ! 『バックステップ』のセンスが無いとそういった行動の成功率は1割を切るぞ!」
ウィンディから冷静なツッコミが入る。うう、既視感が酷い。HPも大きく減った気がする。……ちょっと待てHPが減ったということは……。
「イヤッッホォォォオオォオウ!」
エレアは左腕を上にあげてジャンプしながら叫ぶ。俺は自分の体を確認する。上半身裸。下着すら無い。下半身はスカートもスパッツも無くなっていて、今の俺の姿はパンツ一丁だ。幸い、外套と泥で大事なところは隠れてる。そして現在HPは半分を切っている。……おいおい、これはちょっと無くなりすぎじゃありません?0どころか3割切ったら全裸になりそうな勢いですよ?
「『ヒール』!」
「『ヒール』!」
外套で再び体を隠しながらすぐさま『ヒール』を自分にかける。リンゴもかけてくれた。エレアは後でぶん殴ろう。……うう、服は直ったが泥はまだそのままのようで、ベチャベチャする……。
◆
「『ギガインパクト』!」
ギガントのハンマーが沼地に振り下ろされ、衝撃波でリザードマンや大蛇が吹っ飛ぶ。『ギガインパクト』は、たしか大鎚のスキルで、対象に大ダメージと、広範囲にそこそこのダメージを与えるスキルだ。『ファイター』だから広範囲にも結構ダメージを与えたと思う。けっしてギガントしか使えない特別な技とかいうわけではない。……いまの一撃で残る敵は数体といったところだろう。
「『クリアブレット』!」
「『ファイアブレット』!」
「『シャインブレット』!」
残る敵を魔法で倒して、ようやく殲滅戦が終わる。……ああ、今回は精神的に疲れた。




