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Sense And Madness Online  作者: 一二 三四五
◆第三章
28/50

 リンゴの元に向かうと、リンゴが肩から血を出してうずくまっていた。


「リンゴ! 無事か!?」

「え!? あ、う、うん。大丈夫だよ! 心配かけたみたいでごめんね!」

「何があった?」

「えーっと、えーっと、突然沼の中からワニが出てきてびっくりしちゃったんだよ。肩の傷はそれで驚いた時にリザードマンに切り裂かれたもので……って、『ヒール』!」


 リンゴは『ヒール』を使って肩の傷を治す。

 見ればリンゴの周りにリザードマンの死体3体と、沼にワニの死体が1体あった。遠距離攻撃で倒したんだろう、沼の真ん中辺りで死んでいた。一人で3体+1体倒すなんてスゴイナー。

 リンゴは『クレリック』だが、ギガントと同じく『大鎚』を振り回している。ステータスはエレアよりもSTR重視で、回復や攻撃魔法はあくまでも補助、『大鎚』で殴るのが主らしい。


「……痛くなかったのか?」

「勿論痛かったよ。でも、『重装備』だから我慢できたし、皆も頑張ってるだろうから、ね」


 リンゴはいつも通りの笑顔で返してくれる。そこへギガントとエレアとウィンディが走り寄ってきた。


「リンゴ、回復を頼む。回復したら出発だ」

「うん。『ヒール』!」


 ギガントを『ヒール』の光が包み込み回復する。鎧を着ているためよくわからないが、ギガントもどこか怪我したんだろう。俺達とは違い、二人とも一人でリザードマン3体を相手にしたんだから怪我をしていてもそうおかしい話じゃない。


「よし、さっさと進むぞ」


 そう言うと、ギガントはどんどん先へ進んでいく。途中リザードマンを見かけたが、早く奥地に行くためにも無視して進む。



 ガンガン進んで行くと、次々に敵を巻き込んでいくものだろう。気付けば20体近くのリザードマンが後ろから追いかけてきていた。


「ああ、無理に突き進むとこうなるか。やっぱ適度に潰しとくべきだったか。……タタリ、このまま奥まで突っ走るから、適当に数減らしといてくれ。奥地に着いたら俺達も殲滅に加わる」

「了解。『剛拳』! とりゃ!」


 『剛拳』を使ったら心なしか、体を赤い光が包んでるように見える。今はそれを無視して『拳』のレベルが10になったら使えるようになる『衝撃』というスキルを使う。『衝撃』や『強打』などの技系のスキルは考えるだけで使え、『剛拳』などの補助や魔法系のスキルは考えて、且つスキル名を声に出さないと使えない。実は『格闘家』のレベルが10になった時に『マッスルコンバート』という、MPをSPに変換するスキルを覚えたが、この仕様のおかげでまだ1回も使ったことが無い。人前で「マッスル」とか言うのに抵抗があるからだ。

 『衝撃』の良い所は遠くにいる敵に攻撃を当てられる点。悪い所は威力が低く、普通に殴った時の半分ほどしかダメージを与えられない点だ。しかし俺の高いSTRとそこそこの『拳』レベルにより、ダメージはそこらの石を投げるよりもはるかに高い。『剛拳』でVITを上げて弾かれないようにすれば

『衝撃』を食らったリザードマンはよろけるが、よろけている間にも他のリザードマンがよろけているリザードマンを抜かして追ってくる。

その後30秒に1回『剛拳』を使い、追ってくるリザードマン達に『衝撃』を当てながら、ギガント達を追うようにして沼地を突き進んでいく。視界の隅では、また新たなリザードマンが追手に加わっていた。



――『トカゲ湿地帯』 東の沼



 あれからマップが切り替わるほどに進んだが、『衝撃』を当ててるのにリザードマンは数を増やして、倍以上の数になって追ってきていた。数体は倒してると思ったが、弱った奴が後ろに行っただけで数はまったく減ってないようだ。


「なんだか既視感が酷いんですけど」

「そういや、タタリは『動物の森』でも追っかけられてたな。で、どうだ、『剛拳』や『衝撃』のレベルは少しは上がったか?」

「ええ、まあ。おかげさまで3分は持つようになりましたよ。『衝撃』の方は射程が10倍くらいにね」


 『剛拳』はレベル6、『衝撃』はレベル11、『強打』は使い続けてるからか、レベル20までレベルアップしていた。ジョブセンスレベルにジェブセンススキルレベル、センスレベルにセンススキルレベルと、頭がおかしくなりそうだ。なんで開発者はこんなに複雑にしたんだよ。初心者にもっと配慮してくれよ。……チュートリアルも公式ページも、Wikiすらまともに見てない奴がこう言ってもいいのかわからんが。

 『剛拳』は倍率じゃなくて持続時間が伸びるのはともかくとして、『衝撃』が威力じゃなくて射程が伸びるのはいったいどういう事なんだろうか。開発の『拳』に対する悪意が見えてきそうだ。


「さて、じゃあ初心者育成のためにもタタリに先陣を切ってもらおうか。まだ奥地には着いていないが、こんなに増えてちゃまずい。少し早いが殲滅戦といくか」

「ひゃー、増えとるなー。たしかにこれはまずいわ」

「それにほら、あそこ。リザードマン以外のモンスターもいるよ!」


 リンゴの指さした方を見れば、確かにリザードマン以外のモンスター、ワニだとか大蛇が見える。リザードマンと比べてどれくらい強いかはわからないが、『剛拳』により皮膚の堅さが25を越えた俺には敵無し……だと思いたい。堅さ26が来たらアウトだ。

 悩んでてもしょうがないので、勇気を出して大群に向かって突撃する。

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