表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sense And Madness Online  作者: 一二 三四五
◆第三章
27/50

――『トカゲ湿地帯』 西の沼


 『トカゲ湿地帯』はアガレスから東へ歩きで1時間――馬車だと30分ほどで着く所にあるダンジョンだ。トカゲ湿地帯では動物の森とは違い、入口付近から既に動物の森の奥地に出るような強さのモンスターがうろついている。その最たるものがリザードマン。トカゲ人間だ。そして先ほど、いきなり3体のリザードマンに襲われた。すぐにギガントが指示を出し、ギガントが1体、リンゴとウィンディで1体、俺とエレアで1体を倒すという手筈だ。



「せいっ!」


 リザードマンに料理でできた失敗作を投げつける。ベチャッと音が鳴るが、たいしてダメージが入った様子もなく、リザードマンはこちらに振り返る。


「ほいっと」


 その後ろからエレアが左手で握った剣で斬りかかり、振り返ったリザードマンをさらに俺が後ろから殴って倒す。エレアは『マジシャン』だがSTRにも振ってるようで、剣も魔法もある程度扱えるらしい。……反面、どちらも威力は低いらしいが。

 そういえばトカゲは尻尾を切っても再生すると言うが、リザードマンも尻尾を切ったらまた生えてくるのだろうか。


「向こうも倒し終わったやろし、さっさと素材剥ぎ取ろか」


 見ればギガントもリンゴとウィンディも倒れているリザードマンに手をかざしている。倒れたモンスターに手をかざすことで素材が自動的に袋に入るのだ。もしこれが無く、自らの手で目玉を取ったり皮を剥いでたとしたら、もう俺はモンスターを狩っても素材は剥ぎ取らなかったと思う。ちなみに複数人でかざせば、手に入る素材はレア度が均一になるように分配される。


「うえっ……」


 袋を見ると、新鮮なリザードマンの目玉が見える。リザードマンには皮、尻尾、目玉といった順にレア度が違い。俺は運がいいのか悪いのか、目玉を引き当ててしまったようだ。皮や尻尾ほど臭いはきつくないが、見た目がグロテスクであまり欲しいものではない。


「ガンガン行くぞ」


 そう言ってギガントはどんどん沼の奥へ進んでいく。それに俺も続く。



 ガンガン進んでいくと、次々にリザードマンに見つかり、前から3体、後ろから6体、左から3体というように集まり、計12体に囲まれる。


「俺が前、タタリとエレアとウィンディが後ろ、リンゴは左だ! 各々終わったら状況確認!」


 後ろから来るリザードマンに向かってウィンディが『疾風弾』を撃ち、すぐさま短剣に切り替えて突撃する。


「オラァ!」

「『ファイアブレット』!」


 俺もそれに続いてリザードマンに近づき、頭に『強打』で1回、通常攻撃で1回の計2回殴りつける。これは俺の異常なまでに高いAGIがあって初めてできる芸当だ。名付けて弐連拳!――と言っても、VITが足りないために弾かれる。しかし1/10とはいえダメージは通っているようで、リザードマンのHPは残り7/8くらいだ。……VITが足りていれば『強打』一撃で倒せたってことかな。通常攻撃が空ぶるのは恥ずかしいし、『強打』を耐えきれる敵じゃないと弐連拳は使えない。良い名前だと思っただけに残念だ。


「あ、やべっ」


 いくらAGIが高くても攻撃した後には隙ができる。そこを狙ってリザードマンがギョロリとこちらを見る。そこでゴウッとリザードマンの頭が燃える。エレアの『ファイアブレット』が飛んできたようだ。リザードマンのHPもあと少し。そこへさらにウィンディが後ろから切りかかり、リザードマンのHPは0になり、倒れる。残り5体。


「気ー抜くな! 囲まれてるで! 『ファイアブレット』!」


 突っ込んだせいか、俺達は残る5体に囲まれていた。脱出するためにエレアが『ファイアブレット』を飛ばしたリザードマンに向かって飛びこみ、弐連拳。そして即座に隣のリザードマンの後ろに回り込み、弐連拳。当たり所が良かったようで、2体目のリザードマンは『強打』の一撃でHPが半分になる。そしてこちらを振り返ったリザードマンを後ろからウィンディが切り裂いて倒す。1体目のリザードマンはエレアが斬って倒したため、残り3体。しかし油断はしない。


「『ファイアブレット』!」


 エレアが『ファイアブレット』を使い、俺が飛び込んでHPを減らす&足止め、そして僅かに残ったHPをウィンディが刈り取る。それの繰り返しで残る3体を殲滅した。



「お、レベル上がった」


 ステータスを見ると『格闘家』のレベルが20になっていた。たしか、20で使えるようになる『剛拳』が、VITを1.5倍にしてくれるはずだ。スキル画面を見ると、『剛拳』と、『柔拳』というスキルが追加されていた。

 剛拳はシンに説明された通りのもので持続時間は30秒。多分一回の戦闘毎に使わないとダメだと思う。『柔拳』はAGIを一時的に1.5倍にする。……500の1.5倍ってかなりやばくないか?

 そして『剛拳』を使ってる最中に『柔拳』を、『柔拳』を使ってる最中に『剛拳』は使えないようで、VITかAGI、どちらかを一時的に1.5倍にすることしかできないようだ。


「おめでとさん。剥ぎ取り終わったら援護しに行こか」


 リザードマンに手をかざして剥ぎ取りを行う。今回のアイテムは――うん、皮ばかりだ。臭い。

 エレアとウィンディは砥石で武器を研いでいる。あれが耐久回復アイテムなんだろうな、と思ってた時――


「きゃあああああ!」


 リンゴの叫び声が聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ