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Sense And Madness Online  作者: 一二 三四五
◆第二章
20/50

「そういえば、タタりんは朝のお友達に何か連絡しなくていいん? 心配してはると思うで」


 エレアがウィンディに殴られた頬を擦りながら言ってきた。そういえば再ログインしてから会ってない。

 ハム兄さんと心太郎は幼馴染だし、なんだかんだ言って心配してそうだ。特に心太郎との付き合いは長いし、昼にも『デスゲームなんて都市伝説』なんて事を言ったのだから、責任を感じているかもしれない。

 茜は幼稚園の頃から同じ家で生活している妹のような存在だし、まだ中学生だ。俺は自分よりもまず茜を心配すべきだったと思う。


「とりあえずメッセージボックス開いてメッセージ来てるか確認し」

「あ、ああ」


 言われるがままにメニューを開いてメッセージボックスを確認する。メッセージは1件来ていた。


―――――


送信者:SIN

受信者:TATARI

件名 :無事か?

本文 :AKARIと俺は今、HAMUのレギオンハウスにいる。

どうやらログアウトできなくなったようだ。

とりあえず今日の所は宿に泊っとけ、D級以上なら飯も付いてるし、寝具使って寝れるはずだ。

それと、くれぐれも外に出ないようにしてくれ。もしかしたらデスゲームになっているかもしれない。

とにかく、詳しい話は明日朝6時にパン屋で集合して話そう。

最後に、巻き込んですまん。


―――――


 どうやらハムはもう家を買って、レギオンハウスに設定したようだ。朝、『拳』と『軽装備』を買ってもらったように、レギオンメンバー同士でお金を出し合って買ったのかもしれない。

 そしてこのメッセージの受信時刻は20時30分頃。今が21時だから、俺が風呂に入ってる間に届いたみたいだ。

 メッセージを見る限りだと、今のところはシンもアカリもハムも無事のようだ。しかし――


「朝6時ってキツイな……」


 そう、今から寝たら8時間は寝れるが、さすがに中学の頃から帰宅部な俺に6時は辛い。

 心太郎も中学、高校揃って陸上部だし、茜はバレーボール部。ハム兄さんは分からないが。エレアは「ああ、そんな事か」みたいな顔をして俺に声をかける。


「ワイらは4時に起きるし、その時ついでに起こしたるで」

「え!? なんでそんなに早いんだ!?」


 4時と言えば、6時よりも2時間早い。その事を当然のようにエレアは言う。


「そりゃまあ、早ければ狩場も取りやすいし、夜だと命中と回避が下がって移動しにくいからな。ちなみに、SaMoでは夏の間は4時で日の出、19時で日の入りや」

「……自分が一般人って再認識したよ」

「ま、4時起きは学生でも早い方やから仕方ないわ」


 忘れてたが、俺は今日初めてオンラインゲームに触れた初心者だ。エレアやシンのようなゲーム廃人とは違う。……そして、これから染まっていくんだと思うとこわいものがある。


「さてさて、もう21時やし寝よか。明日は早いで」


 そう言ってエレアは布団に入っていった。見ればギガントやリンゴも布団に入って寝ている。俺もそれに続くように布団に入る。


「ふおおお」


 風呂に入った時と同じように体の力が抜け、疲れが取れていくように感じる。思わず変な声が出るほどに。これを知ったらもう、普通のベッドじゃ眠れなくなるくらい気持ちいい。

 ああ、ベッドサイコー。



 あれから5時間ほど経っただろうか。

 一向に眠くならない。しかし、ベッドは未だに気持ち良さを保っている。これは俺だけじゃなく、皆も実は眠れてないのかもしれないと思い、隣のベッドで寝てるエレアに声をかける。


「……起きてるか?」

「む……起きとるけど。……ひょっとして、タタりんも眠れへんの?」


 エレアも眠れないようで、寝返りを打ってこちらを向く。その声に続くかのように、他の3人も続けざまに返事をする。


「はいはーい、私も横になってるけど起きてますよー」

「私もだ」

「俺も同じだ。横になってれば気持ちいいんだが、眠れないな。多分、一部の無くなってるんじゃないか?トイレとか行きたくならないしな」


 そう言われてみれば、風呂も気持ち良かった風呂上りに冷たい水を飲んでも尿意は感じなかった。「よっと」と言って、エレアは布団から腕を出して頭の後ろで組む。


「かと言って、寝具を出て調合とか料理しても、普段と違てSPの消費量も多くなって成功率も下がるしな」


 料理や調合はセンスが無くてもできる。勿論、センスが無いので成功率は低いが、DEXが高ければある程度は作れる。狩人や銃士等のDEXが上がる職業は成功確率や質こそ生産職には及ばないものの、戦闘能力のある生産役として活躍できる。と、Wikiに書いてあった気がする。

 しかし、今は調合器具と材料、調理器具と食材が無いので調合も料理もできないが。


「お、そういや掲示板は見れるんやったっけ。4時になるまでこれで時間潰すのもええかもな」

「そうだな。タタリも」

「ギガントー、こういう時はタタりんだよー」

「あー、わかった、わかった。……タタりんも、まだガチムチだの呼ばれてるかもしれんがチェックしとけ、有益な情報が埋もれてるかもしれんからな」

「……ああ、そうする」


 メニュー画面から公式掲示板を開き、雑談板Part103というスレッドを開く。……そういえば板って何だろう。

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