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Sense And Madness Online  作者: 一二 三四五
◆第一章
11/50

 格闘家が如何に地雷かはよくわかった。攻撃力は高いが、切れ味が絶望的、とのことだ。

 ついさっき戦ったゴブリンは皮なので俺でも楽に殴れたが、次に戦うだろう熊は毛と皮で判定していて堅いらしい。毛には5の堅さがあり、仮にVIT0の熊がいたとしても殴るのに最低でもVIT50は必要とされるらしい。……まあ、現実でも熊を素手で殴り殺すには十分修業しないと無理なんだろうけどさ。


「しかし、いくらなんでもこれは酷過ぎないか? 『無刀流』が無い『格闘家』はどうするんだ?」

「普通は『格闘家』は選ばない、選んだとしてもすぐに変える。そんな職業だ。それでも続けるやつはたまにいる程度で極少数だな。例を1つ言えば、『剛拳』が使えるようになるLv20までひたすら下級ゴブリン狩りだな。それから少しずつ敵の堅さを上げていく感じだ」

「ところてん、シーフード貰うよー」

「ああ、茜ちゃんならいつでもウェルカムだよ、一切れ残しといくれ」

「ういさー」


 俺はアンチョビピザを食い終わってるが、心太郎は俺に解説するためにまだ半分しか食ってない。何か悪いことをしたように思う。その後も如何に『格闘家』が地雷か解説された。……ついでにステータスの方も、より深く説明された。キャラクター作成する時にした事を後悔するほどに。



「さて、食ったところでSaMoやるか。崇、お互い頑張ろうぜ。それと、ゲームから公式掲示板にもアクセスできるからさ、後で見とけば簡易Wikiとして使えるさ」


 そう言って、俺の背中をバンバンと叩いた後、心太郎はVR機に入って行く。

 ハム兄さんと茜もそれに続く。3人はcβ時のレギオンメンバーと合流して、再結成するらしい。

 俺もVR機に入って、SaMoを起動する。今朝のような不安は無く、今は逆にわくわくしている。

 そして、俺は再び、Sense And Madness Onlineの大地を踏みしめる。今朝以上に現実的に感じる。おそらく、今朝の俺は内心ビクビクしながらだったため、思う存分堪能できなかったようだ。



――始まりの町『アガレス』 中央広場


 ここ、中央広場では、色んな人が露店を開いていた。

 露店というのは、トレード機能を使って商売する事を言う。お金と物を交換する、これに気付いた奴って意外と凄いやつなんじゃないかと思う。・・・現実でもよく考えればそうだけど、お金は使ってるって感じで、渡してるって感じはしなかったからだ。


 まあ、買えないんだけど。手持ちのゴールドはシンとアカリとハムに貰った1200ゴールド。

 鱗の鎧は2000ゴールド。その差は800ゴールド。今の俺には、すぐに800ゴールドためるなんてことはできない。

 しばらくはゴブリン狩りだろう。俺のVITなら熊に挑んでもいいかもしれない。

そう思っている内に鱗の鎧は買われていた。


「っと、狩る前にステータス確認しないとな」


 ステータス画面を開いてステータスを見る。HPはレベル相応だが、SPが775、STRが110、VITとTGHが75、AGIが170と一部のステータスがぶっ飛んでいる。MPは155、DEX、INT、MND、LUKは15でそれほどでもないが、これも魔法少女に変身したらぶっ飛んだステータスになるんだろう。そして今の所VITは75あるので、なんとか熊は殴れるようだ。

 次にセンス一覧を開いてみる。『拳』センスと『軽装備』センスのLv1からLv2に上がってるのは、きっとゴブリンと殴り合ったからだと思う。

 『拳』センスのような攻撃センスは、攻撃すると上がり、『軽装備』センスのような防御センスは、攻撃を受けると上がる。そして『釣り』『料理』『投擲とうてき』センスは、釣りをする、料理をする、物を投げることでレベルが上がる。この三つは、どれも試してないのでまだLv1だ。


「……明らかにレベル1の能力じゃないよな。まあ、『無刀流』で『拳』に限定されるせいで実際はそれほど強くないんだろうけどさ……」


 『拳』は弱い。その理由が、センスレベルが低い内は威力が低い、ということだ。他のセンス、例えば『片手剣』なら、Lvが1上がる毎に武器威力が5%上がる。しかし『拳』は特殊で、センスレベル×センスレベルで威力が決まり、Lv2でも2×2で威力4という低さだ。シンが言っていた攻撃力が高い、というのは、この計算だとLv30あれば30×30で威力が900になる、という事だろう。


 つまり、『拳』は『無刀流』とセットで初めて他の武器センスと並べる、という事だ。逆に言えば、『拳』は『無刀流』が無いならまず選ばないので、クローズドβ参加者ならまず『拳』センス持ち=『無刀流』センス持ちと繋げられるらしい。

 つまり、あのパン屋の中では既に、俺=『無刀流の格闘家』と思われてる可能性が非常に高いのだ。ステ振り間違いの二重苦、初心者で三重苦の。


 そして狩場は『トカゲ湿地帯』か、『動物の森』となるが、『トカゲ湿地帯』はおそらくLv1の格闘家じゃPT募集にはかからないだろう。『拳』も効かないし。魔法少女だとしても、今の俺のINTでは『杖』センスを持ったマジシャンに魔法の威力で負ける。リザードマン相手に1人じゃ死にやすく効率も悪い。

そういった事から、俺は『動物の森』で適当にPT募集して、熊に挑もうと思う。


 公式掲示板を開く。公式掲示板とは、SaMoの公式ホームページ及びゲーム内から閲覧、書き込みができるネット掲示板の事である。

 SaMoに登録しないと書き込みはできないが、ゲーム内からも利用できる、というのでWikiよりも利用者は多い。

 早速俺は『動物の森PT募集板Part2』というスレッドに書き込んだ。


――――――――――


191 名前:TATARI

【職業】格闘家

【性別】男

【ステータス】HP:1600/SP:755/MP:755

       STR:110/VIT:75/TGH:75/DEX:75

       INT:75/MND:75/LUK:75/AGI:170

【センス】無刀流、魔法少女、釣りLv1、料理Lv1、投擲Lv1、拳Lv2、軽装備Lv2

【希望】優しく教えてくれる方

【コメント】初心者で格闘家ですが、無刀流と魔法少女でHP以外の全ステータス5倍になってます。


――――――――――

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