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初めまして。一二 三四五と申します。
初の小説で、初の投稿で、色々見苦しい所もあるかもしれません。
また、この小説はVRMMOモノです。
今の所デスゲームや転生みたいな事も書こうかと思っていますが、何分初心者なもので、技術不足です。書けたらいいですね。
日常も入れたいと思ってます……が、書けるかどうか分かりません。
そのくらい初心者です。
俺、漆原 崇は県内の公立高校にこの春合格し、その公立高校に通う高校1年生だ。
周りが金髪や茶髪に染めてる中、染めずに黒髪を貫き通し、がり勉の代名詞でもあるメガネをかけているためか中学の頃は少しいじめを受けていたが、幸いにも高校進学と同時にそれは無くなった。……クラス唯一のメガネという事で委員長を押しつけられもしたが。
そして今日は7月19日。明日から高校生活最初の夏休みだ。体育館での長ったらしい終業式が終わり、今は教室で担任からありがたいお言葉と夏休みの宿題を貰っている。
全員に夏休みの宿題が行きわたると、担任は委員長――俺に号令をかけるように言う。
「じゃあ漆原、号令頼むわ」
「起立、礼」
礼をした辺りで担任が教室から出ていく。そして教室には俺が「着席」と言う前に、夏休みの到来を喜ぶクラスメイトの歓声が響いた。まったく、現金な奴らだ。その後、隣のクラスの担任が怒鳴り込んでくる。これがこのクラスの日常だ。
◆
「よう、祟る」
教室でのバカ騒ぎも終わり、生徒たちは帰路につく。周りでは仲の良い友達同士で腕を組んだり、隣に並んだりして帰ってるのが目につく。そして例外なく、俺もそこで後ろから声をかけられた。
祟るというのは、「お前を祟り殺してやるぞ」という意味ではなく、ただの俺の渾名だ。この渾名は「崇という字が祟るに似てるから」、そんな理由で付けられた。そしてこの渾名で呼ぶのは幼馴染の間柄にしかいない。クラスメイトは俺を――委員長と呼ぶ。
「よう、心太」
「心太じゃねえよ! 心太郎だ!」
俺が心太と呼んだ茶髪の男は、同じクラスで幼馴染の谷口 心太郎。毛染めはしていない生まれつきの茶髪だ。身長は俺より小さいが172cmで中々高い。
その俺の身長はと言えば、187cmで新入生の中で一番に背は高い。実は先生よりも2cm高いのだ。
心太という呼び名は小学校高学年辺りから付き始めた。心太という字は「ところてん」と読むと、当時国語の授業で習った心太郎は授業中に「なんでじゃー!」と叫んだ。
それ以来心太郎は心太と呼ばれるようになった。俺は「祟る」と言われた時かムカついてる時くらいにしか呼ばないが、他のクラスメイトはよく心太と呼んでいる。
「それで……何の用だ?」
「明日からは楽しい楽しい夏休みだろう。せっかくだし、ハム兄さん家にゲーム合宿しようぜ」
ハム兄さんというのは、岡本 公彦と言う、6歳上の幼馴染だ。
何故「ハム兄さん」か。別に太っているわけではない。むしろ細身だ。公という字を幼い頃に「ハム」と読んだ時の名残だ。ちなみに本人公認でもある。
「ゲーム合宿ってお前、宿題はどうするんだよ」
夏休みに欠かせない「宿題」。観察日記のような長期的な物から、問題集のような数十分で終わる物など様々だ。
高校にもなれば観察日記は無いが、かわりに読書感想文というものが出てくる。
出来が良いと、夏休み明けの文化祭で発表に繋がる。発表できれば図書券を貰えるが、全校生徒の前で発表するのはさすがに恥ずかしい。俺には全校生徒の前で発表する度胸は無いから手は抜くが。
「そんなもん後だ後。どうせ出さなくても明けのテストで挽回すりゃいいんだよ」
「その自信はどこにあるんだよ……。で、なんでハム兄さん家なんだ?」
「ハム兄さん家にはVR機があるだろ! 8台も!」
VR機というのは5年前頃から出始めたと言われる、VRゲームができる家庭用据置機だ。シャワールームくらいの大きさの個室の中にイスとパソコンを設置したようなものだ。
中はゼリー状になっていて、このゼリー状の温度は可変で、夏はひんやり、冬はぽかぽか遊べるというわけだ。温度は内側から変えるので、閉じ込められて蒸し焼きにされる、なんてことは無いと言っていい。
さらに服を着たまま入っても服にくっ付かないし、口に入っても無害な素材でできているらしい。食べた事は無いので本当に大丈夫なのか分からないし、何でできているのかも分からないが。
当時はこの大きさから広まりにくいと予想されたが、その高性能さ、値段の安さから発売から爆発的に普及した。一家に一台あるのが普通と言われるが、一部の人は2台以上持ってる人もいる。ハム兄さんはその中でも異例で8台も持っているのだ。個人で持つ数としてはかなり多い。俺としてははっきり言って1台あれば十分だと思うが、これぐらい無ければできない事があるらしい。
「それで……? やるゲームは何か決まってるのか?」
VR機はオンラインゲームもできるが、オフラインでも問題無くできる。とはいえ俺はソフトは持っていないし、オンラインゲームもやっていない。心太郎はオンラインゲームを主にやっていて、ハム兄さんも同じなので、結局はオンラインゲームになる。
「ふっふっふ、実は明日からオープンβのSense And Madness Online、SaMoというのを見つけてある」
「……なんか少し危険な名前じゃないか?」
Madnessって確か発狂だの狂気だの、そういう意味があったはずだ。
「まあ、雰囲気は一般的なファンタジー世界だから大丈夫だ。それに意外と精巧に作られててな、一生遊べると言っても過言じゃないぜ」
心太郎は自分の事のように自慢げに話している。おそらく前のβテスト、cβに参加したんだろう。こいつのことだ、きっと廃人並にプレイしているに違いない。
なんせGWの登校日を「ゲームやってて忘れてました」と言って来なかった奴だ。おそらくその頃に前のcβがあったんだろう。GW明けに「神ゲーを見つけた」とか言ってたしな。
「ま、明日からしばらくは一緒にゲームを楽しもうぜ!」
心太郎は俺の背中をたたき、笑顔で夕日に向かって走り去っていく。俺は苦笑いをうかべて手を振ってさよならを告げる。
そして、俺は同時にある事に気付いた。
「あ、やべ、話に夢中で家通り過ぎてた……」
心太郎の家は俺の家から少し離れた所にあり、俺は話に夢中になるとよく通り過ぎる。帰った時に姉から「あんた、また通り過ぎたね」とにやにやしながら言われた。
親に明日からハム兄さんの家に泊まる事を言って、風呂に入って晩飯食べて寝た。