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 後日談――。


「ザクテンの王太子から!? なんで?」

 《住まう舟》の甲板に山と積まれた網。横付けされた船からはさらに太い紐やらロープが運ばれてくる。

 何事か、と一族が集まる中、ネリが手紙を差し出した。

「ヨルナ、ほら」

 文字に明るくないヨルナでも読めるような、極簡単な手紙だ。

 それは、たった一文。

「――僕を振ったことを後悔するなよ、…………? こ、これまさかクライド!?」

 驚愕に叫ぶヨルナの横で、キリクが手紙と網を交互に見て、口をポカンと開ける。

「我がザクテンの王太子クライド殿下よりヨルナ殿とキリク殿の御結婚を寿ことほぐ贈り物でございます。公務に忙殺されてこちらまで出向くことが出来そうにないから、と。どうかお受け取り下さいますよう」

 ネリに手紙を渡した青年が柔和に微笑んだ。

「……思わぬ大物だったわけだ」

 キリクが上擦った声で呟く。青年が苦笑し、さらに頭を下げた。

「また我々ザクテンの民より、王太子殿下を救命下さったこと心より御礼を申し上げます」

 はぁ、と気の抜けた答えを返し、ヨルナはキリクを見上げた。

「ネリ殿には例の件について双方の日程を合わせた上で一度お越しいただきたいと殿下が。こちらに詳しい書状がございます」

「例のってなに?」

「交易の話だよ。まず父さんに話さなきゃだな……」

 頭を掻きながら、ネリは肩を落とした。

「ここはまかせてお前たちは結婚式の予定でも話しあってろよ」

 手で追い払われ、キリクがヨルナの肩を押した。

 促されるまま、歩き出すと甲板の反対側で立ち止まる。すぐ近くにあのケルプの森があった。

 それを見つめながら、キリクが口を開く。

「後悔してるか?」

 キリクの低く密やかな囁きに、ヨルナは快活に笑うと背伸びをし――。


 大好きなひとにキスをした。


以上でヨルナを主人公とした《第一章》コールヤ湾のお話はおしまいです。《第二章》の舞台は内陸に変わります。《第二章》も読んでいただけると嬉しいです。それでは、ここまでお付き合い頂きありがとうございました! 良ければ下の☆を★に。よろしくお願いします。

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