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夢囚人の名探偵~胡蝶の雨宿り~

作者: 屑屋 浪
掲載日:2025/12/30

■登場人物

夢路 醒 :夢の中の探偵。

白蝶   :今回の依頼人。


■「夢囚人の名探偵」シリーズについて

 夢に囚われている少女探偵「夢路 醒」が、夢を使って依頼を解決する話です。

 今回で6作目になります。前作を読まなくても支障はありませんが、宜しければ前作もご一読頂けると嬉しいです。

・1作目「夢囚人の名探偵~夢路 醒の事件簿~」

・2作目「夢囚人の名探偵~回命時計の使い方~」

・3作目「夢囚人の名探偵~ピンクのランドセルの女の子~」

・4作目「夢囚人の名探偵~文化祭の来夢~」

・5作目「夢囚人の名探偵~人食い観覧車~」


この作品は、「第7回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞」の応募作です。

テーマは「雨宿り」。

「雨?」

 白い影のような少女は窓の外を見ると、古びてはいても上品な扉を開けた。

「いらっしゃい。」

 少女の呼び掛けと共に白い蝶がヒラヒラと入ってきて客用のソファに止まった。

「こんにちわ。私の依頼人さん。」

 少女は蝶に挨拶すると対面のソファに座る。

『助かりました。蝶にとって雨は天敵ですから。』

 白蝶が翅を開閉して感謝すると、少女は会釈してから口を開いた。

「自己紹介がまだだったわね。私は“夢路(ゆめじ) (さめる)”。探偵よ。さあ、あなたの話を聞かせて。」

『話と言われても私はただの蝶なので……』

「変ね。ここに来るなら悩みがあるはずだけど?」

『そう言われると何かあった気がします。』

 白蝶は翅をパタパタさせると何かを思い出した。

『そう言えば人間の夢をみました。』

「詳しく聞かせて。」

 醒に促され、白蝶は夢の内容を話した。

 夢の中で白蝶は人間になっていて、朝起きて会社に行き、働いて、夜になると帰って休むという生活を繰り返しているのだという。

『それが現実だと思っているのですが、目が覚めると私は蝶なのです。』

「まるで“胡蝶の夢”ね。」

『それは何ですか?』

「荘子という古代の中国の思想家が語った、夢の中の蝶が現実か、現実の人間の方が夢なのか、という逸話よ」

『では私は実は人間で、蝶の夢をみているのでしょうか……』

 考え込む白蝶に醒が言った。

「どっちでも良いんじゃない?荘子もそう言ってるし。」

『え?』

「蝶でも人間でも同じあなた。どちらが本当の自分かを考えるのではなく、どちらの場合でも自然のままに生きる事が大切だって話だもの。」

『人間の私は自然のままに生きているのでしょうか?』

「それは人間のあなたにしか分からないわ。」

『そうなんですが……』

「そういえば雨の夢は良い兆しなんですって。」

『突然どうしたんですか?』

「そして蝶の夢は“変化や成長”を表すらしいわよ。」

『あの、一体……』

「言い忘れていた事があったわ。」

『何ですか?』

「ここは夢の中よ。」

『え……』

 その途端、白蝶は目を覚まし、夢の世界から消えた。

「雨は止んだみたいね。」

 夢路総合病院の眠り姫は窓の外を見つめた。


 目覚めた時、白蝶だったものは夢をみていた事も忘れていた。そして雨上がりの空を自由に飛ぶ白い蝶を眺めている内に、心の中の何かが形になった気がした。

 お読み頂き、ありがとうございます!

 読み返したら推理していませんでしたが、一応、探偵の仕事はしたという事でご容赦下さい。

 荘子の「胡蝶の夢」ですが、内容の一部を小説用にアレンジして使っているので、詳細はご自身でご確認頂けると幸いです。


 気に入って頂けましたら、ブックマーク、評価、いいね、感想など、少しでも反応を頂けると励みになります。

 別の作品でもお会いできる事を楽しみにしています。

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