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第一章沈黙の地下室
暗闇の中で、冷たい金属音が鳴った。
「ほら、ここをよく見てみろ。まず最初に喉を、、、」
男の低い声と、何かが肉を裂く音。乾いた空気が血の匂いで満たされていく。
その隣で、幼い少年が固まっていた。小学三年生。桐谷蓮。小さな身体が震えているのは、寒さではない。
「怖がることはない。人間なんて、壊れやすい動物だ。面白いだろう?」
男の名前は桐谷一馬。白衣の袖をめくりながら、死体を手際よく解体していた。まるで学校の理科実験のように、無感情に。
蓮は、声を出さなかった。出せなかった。怖かったのは、目の前の"死”ではなく、それを楽しげに語る父だった。
「これが本当の人間の姿なんだよ、蓮。」
目が合った。父は笑っていた。
その笑顔が脳裏に焼きついて離れなかった。