プロローグ
乙女ゲーム初心者なので、いろいろアレなこともあるかと思います。
「や、やっと攻略できたぁ」
そう呟いたのは、主に乙女ゲームをプレイしながらそのプレイシーンを動画に録り投稿、またプレイ実況を配信している、女性配信者だ。
今、彼女がプレイしていたのは、剣と魔法を駆使して世界を救う「聖なる祈りは世界を救う」という、ベターなストーリーながら有名絵師が手懸けたイラスト、人気声優を数多く起用したキャラクター、キャラ各々にある感動できるシナリオにより、乙女ゲーム界隈で絶大な人気を擁するゲームである。
また、人気の理由として、隠しキャラクターの難易度が高過ぎて誰も攻略することが出来ていないこともあり、数多くのゲーム配信者が攻略を試みたが、誰一人としてその隠しキャラクターのハッピーエンドに到達したものはいなかった。
そう、この時までは。
私、時田波瑠は乙女ゲーム配信者。
普段はネット経由で歌い手に曲を提供する作曲家をしている。
いつもと同じように、乙女ゲームをプレイしてその動画配信しようと、発売したばかりでも有名絵師によるイラスト、人気声優による良い声のキャラクターが満載の「聖なる祈りは世界を救う」をプレイしていた。
しかし、何十と沢山の乙女ゲームをプレイし、百戦錬磨と言っても過言ではないこの私ですら、初見で隠しキャラクターを登場させる方法がわからなかった。
悔しかったので、隠しキャラ以外のバット、ハッピー、トゥルーエンドを見るまで寝れません、隠しキャラを登場させるまで寝れません配信を1日置きに行い、頭を休ませたのちに、隠しキャラを攻略するまで寝れません配信を行った。
冗談抜きで大変だった。
隠しキャラを登場させるのもほぼランダム湧きで、セーブロードでやり直して同じように選択したのに好感度が下がったり上がったりし、意味不明なところでバットになったり、何度コントローラーを放り投げたくなったかわからないくらいだった。
配信時間限界までやっても攻略出来なかったので、三回も配信をしてやっと攻略することに成功した。
【お前となら、この世界を楽しいと感じられる。お前が好きだ。愛してる】
「や、やっと攻略できたぁ」
超長期の配信により、頭がどうにかなりそうになったけど、達成できた感覚はやはり、いつも気持ちいい。
コメント
『おお!おめでとう!』『すごーい』『イケボ過ぎて耳孕む』
「はは、確かにイケボだよねー。皆も長い時間観てくれてありがとうー。今日はこれで配信終わるけど、また宜しくね」
私はコメントに返事をし、配信を終わらせた。
「はあー長い戦いだった。いたた」
何時間も椅子に座っていて、腰やら足がボキボキ鳴った。
頭も身体も疲れきってしまったので、今日はもうこのまま寝てしまおう。
「見つけたわ!」
ベットに入り、目を閉じた時、何処からかそんな声が聞こえた気がした。