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ささのはに おくはつしもの 夜をさむみ
題知らず
みつね
ささのはに おくはつしもの 夜をさむみ しみはつくとも 色にいでめや
(恋歌三663)
笹の葉の上におりた初霜は、夜の寒さで凍ってしまうけれど、そのために紅葉はしないのです。(それと同じで、私も貴方の冷たさが身にしみたとしても、顔色には決して出すことはありません)
笹の葉は、どれほどの寒さであっても、紅葉しない(色には出ない)ことからの、発想と思う。
相手の態度も、おそらく凍り付くように冷たいのだろう。
しかし、顔を赤くして、泣いたりはしない。
これも、忍ぶ恋の名歌と思う。




