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寝ぬる夜の 夢をはかなみ まどろめば
人にあひて あしたによみてつかはしける
なりひらの朝臣
寝ぬる夜の 夢をはかなみ まどろめば いやはかなにも なりまさるかな
(恋歌三644)
あなたと共寝をした夜が 夢のようにはかなくて うとうとと、まどろんでいると、ますます はかないものになっているのです。
業平の後朝の文。
よほど、二人の愛が燃えた夜だったのか。
そんな情事の夜はあっけなく終わり、業平は自邸に戻り、情事の後のけだるさのなか、儚さを感じている。
あまり野暮な解説もいらない歌と思う。
※伊勢物語103段にも載る。




