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かねてより 風に先だつ なみなれや
題知らず
よみびとしらず
かねてより 風に先だつ なみなれや 逢ふことなきに まだき立つらむ
(恋歌三627)
あらかじめ、風が吹く前から立っていた波なのでしょうか。
まだお逢いしてもいないのに、こんな早い時期なのに、あらぬ噂が立っているようなのですが。
普通なら男女が逢った後に、噂は立つもの。
しかし、何もしていない、逢ってもいないのに、すでに逢瀬の噂が立っている。
男は、よほど好き者で遊び人か。
あるいは、何か魂胆があって、自分から噂が流れるように仕向けたのか。




