67/311
わがこひは しらぬ山ぢに あらなくに
題知らず
紀貫之
わがこひは しらぬ山ぢに あらなくに 迷う心ぞ わびしかりける
(恋歌二597)
私の恋は、歩いたことのない山道でもない、というのに、どう進んでいいのか迷ってしまう、そんな弱気の心が、実に侘しいと思うのです。
初恋でもないのに、相手に、どのように声をかけたらいいのか、どのように接したらいいのか、不安で仕方が無い、そんな迷いの連続になる、と詠む。
まさに、恋は人を盲目にさせる。
こんな言葉もあった。
恋は、ほんとうに影法師。追えば追うほど逃げていく。
シェークスピア「ウィンザーの陽気な女房たち」より




