46/311
ゆふされば いとどひがたき 我が袖に
題知らず
よみびとしらず
ゆふされば いとどひがたき 我が袖に 秋の露さへ おきそはりつつ
(恋歌一545)
夕暮れ時になると、ますます(あなたへの恋しさで)涙で乾くことがない私の袖に、秋の露までが置き加わるのです。
秋の夕暮れは、肌寒さと寂しさを感じさせ、そのうえ夜離れが続く男君への切なさまで加わって、涙が止まらず、袖が乾く暇がない。
そのうえ、秋の露まで重なるので、なおさら、袖は乾かない。
「秋」には。男の女に対する「飽き」の意味も込められていると思う。




