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人を思ふ 心は我に あらねばや
題知らず
よみびとしらず
人を思ふ 心は我に あらねばや 身の迷ふだに しられざるらむ
(恋歌一523)
人を恋する気持ちというものは、すでに自分自身から離れてしまっているのでしょうか。それだから、我が身が苦しい恋ゆえに、これほど迷いの中にいることがわからないのでしょうか。
こんな言葉を思い出した。
恋する者は、狂った者と同じ。頭が煮えたぎり、冷静な人には理解できないような、ありもしないものを思いつく。狂人、恋人、詩人は皆、想像力の塊だ。
シェークスピア「夏の世の夢」より




