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逢ふことは 雲居はるかに 鳴る神の
題しらず
紀貫之
逢ふことは 雲居はるかに 鳴る神の 音に聞きつつ 恋ひ渡るかな
(恋歌一 482)
※雲居はるか:遠い遠い隔たりがあるの意味。
※鳴る神:雷。「音」にかかる枕詞。「高い噂」と解した。
貴方に逢えるなどということは、普通では考えられないほどの隔たりがあるのです。
だから、あなたの高い噂だけを聞きながら、恋続けることになるのです。
身分違いの恋か、夫がいる相手への恋か。
あるいは、「誘い」を、上手に断るための歌か。
いずれにも解釈できる。




