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いしはしる 滝なくもがな 桜花
題知らず
在原業平
いしはしる 滝なくもがな 桜花 手折りても来む 見ぬ人のため
(春歌上54)
※いしはしる:「滝」にかかる枕詞。
この滝がなければいいと思うのです。
(滝さえなければ)あの桜花を手折って来ようと思うのです。
お逢いすることのない人のためなのですが。
「滝」が障害物なので、「見ぬ人:想い人」への、障害となる何かと思われる。
その障害さえなければ、桜花を土産に逢瀬もできるのに。
業平らしい、典雅な「もどかしさ」を持った恋歌とも思う。




