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秋の野に 道もまどひぬ まつ虫の
題知らず
よみびとしらず
秋の野に 道もまどひぬ まつ虫の 声する方に 宿やからまし
(秋上201)
※まつ虫:現代の鈴虫。
秋の野に出て、道に迷ってしまいました。
(人を待つという)松虫の声のする方に、宿を借りるとします。
「秋の野の道に迷った」は、ほんの言いわけに過ぎない。
もともと、松虫の鳴く方角の家に、狙いを定めていた。
おそらく自分を待つ女性(愛人)でも、いるのだろう。
難しく訳している人もあるけれど、単なる「戯れ」の歌として、訳してみた。




