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今はとて 我が身時雨に ふりぬれば
題知らず
小野小町
今はとて 我が身時雨に ふりぬれば ことのはさへに うつろひにけり
(恋歌五782)
かへし
小野さだき
人を思ふ 心木の葉に あらばこそ 風のまにまに 散りも乱れめ
(恋歌五783)
今となっては、私の身は、秋の寒い時雨に打たれて、若さのかけらもなくなってしまいました。あなた様からかけられた約束の御言葉さえも、(何も残すべき意味もない)変わり果てた姿になっているのです。
(決して、そのようなことではありません)あなたという大切な人を思う心は、決して木の葉のような軽いものではありません。(それは確かに木の葉であるならば、風が吹けば、簡単に散り乱れるでしょうけれど)




