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心をぞ わりなきものと 思ひぬる
題知らず
ふかやぶ
心をぞ わりなきものと 思ひぬる みるものからや 恋しかるべき
(恋歌四685)
心というものは、本当にわからないものと思うのです。
(逢えない時に、あれほど恋しいと思ったのに)こうしてお逢いしてみると、ますます恋しいのですから。
ようやく逢瀬がかない、安心すると思ったけれど、そうはならなかった。
目の前に見る相手を、ますます恋しく思ってしまった。
「長い間の思い」がかない、ますます恋しくなる。
おめでたい話と思うけれど、学者のように「わりなきもの」を「道理に合わないもの」と訳すと、途端に歌が理屈っぽくなる。
元々が恋の歌なので、厳格な解釈にはなじまない。




