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勇者の魔石を求めて  作者: 圭太朗
王国歴622年5月17日(火)

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5-11 今日を振り返り明日を考える


 4通届いた伝令の最後は、街兵士が持ってきたイルデパンからの伝令だ。


イチノス・タハ・ケユール殿へ

魔道具屋の主の件でお話がしたい。

お時間のあるときに西町幹部駐兵署にしまちかんぶちゅうへいしょへの訪問を願いたい。

[リアルデイル街兵士西町副長]

[イル・デ・パン]


 魔道具屋の主の件か⋯ 本音を言えば行きたくないな。

 ああした破落戸ごろつきに関わることで自分の時間を使いたくないのが本音だ。


 『幹部駐兵署かんぶちゅうへいしょ』というのは街兵士のお偉いさんが居る場所だ。

 このリアルデイルには、西町にしまち東町ひがしまち幹部駐兵署かんぶちゅうへいしょがあり、そこへ来てくださいと言うわけだ。

 幹部駐兵署かんぶちゅうへいしょを案内してくるのだから、やはりイルデパンは街兵士の中でもお偉いさんだと伺える。


 それにしても手紙に記されたイルデパンの名前を3度も読み直してしまった。

 今まで『イルデパン』と続けて呼んでいたが、正式な名前は『イル・デ・パン』だったんだ。

 王都に居た頃の互いの名乗りでも『イチノス殿、イルデパンと呼んでください』と言っていた。

 『イル』が名前で『パン』が名字だから『パン家』の出身ということになる。

 俺は今まで『パン家』と名乗る人物に出会ったことが無い。

 だとすると爵位継承権が発生しない『騎士爵』の可能性があるな。


 この王国では、王家>公爵家>侯爵家>伯爵家>辺境伯家>子爵家>男爵家までが爵位継承権が発生する貴族だ。

 騎士爵は当代だけで子孫には爵位を継承できない。


 ん?

 この最後に押されてるのは判子か?

 何やらギルマスの判子に似ている気がする。


 4通の手紙を読み終え、今日、1日を振り返ってみる。

 

■今日の用事は全て済んだか?

 今日は東国あずまこくから来たダンジョウの対応以外に無いはずだ。

 この後に訪問予定も無いはずだ。


 今日の用事から派生するものはあるか?

 今日の出来事を整理してみる。


⋯ ダンジョウに『湯出しの魔法円』を売った

 これはサノスにもう一枚描いてもらうか?

 『水出しの魔法円』と『湯沸かしの魔法円』があるから、組み合わせて使えば済むから不要な感じもするな。

 けれども気軽にお茶を飲むには必要な気がする。

 これは、明日の朝にサノスに相談だな。


⋯ ダンジョウの依頼である魔素充填

 ダンジョウから空の『オークの魔石』を魔素充填として預かった。

 これはこの後に俺が魔素充填をしてしまおう。

 夕食前には済ませれるだろう。


⋯ ダンジョウの持ってきた『茶道具』

 夕食後に自分で抹茶を立ててみよう。

 これは食後のお楽しみだな。


 今日の成果と復習はこのぐらいだな。


■明日の予定は?


⋯ 朝は裏庭の整備

 朝から見習い冒険者が3人来るとサノスからの手紙に書いてあったな。

 サノスも朝から来るから、これは全てをサノスに任せよう。

 3人も見習い冒険者が来ると騒がしくなるから、俺は教会に出向いて教会長に話を聞きに行けば良いな。


⋯ 昼前の教会長との対話

 サノスはどこの教会に行ったんだ?

 このリアルデイルには東町と西町に教会があるが、俺は近場の西町だと思い込んでいる。

 それにサノスが東町まで足を運んでいるとは思えないしな。

 これは明日の朝にサノスに確認しよう。


⋯ 教会への手土産はやっぱり寄付金か?

 ちょうど今日はサノスが描いた『湯出しの魔法円』が売れたし、寄付金を納めておこう。


 確か教会から来ていた通知があったな。

 以前に教会関係者が置いていった寄付金を求める通知の文書を探し出す。

 詳細を読んでみれば、西町の教会の物だ。

 読み返してみるが寄付金の額には言及していないな。


 あまり多めに寄付すると、味をしめて執拗に寄付を求められそうだから、適度に抑えておくか。

 ダンジョウの話だと、後々に家庭用の『魔法円』の需要がありそうだから、ここで多めに寄付するとたかられる可能性があるな(笑


⋯ 教会長と何の話をするか?

 コンラッドとの話の流れを思い出すと『賢者』と『勇者』の話だと思うんだよな。

 まあ、寄付金を納めれば教会長の口の滑りも良くなるだろうから、その場で聞き出そう。


⋯ 教会が終わったら昼飯だな

 戻ってきて昼飯にするか?

 それとも冒険者ギルドに出向くから、大衆食堂で食べるか?

 まあ、明日考えよう。


⋯ 昼の後は冒険者ギルドでヘルヤさんへ伝令を出す

 ヘルヤさんの兄の形見の『エルフの魔石』は魔素充填を終わらせたので引渡しの伝令を出す。


 これには注意が必要だな。

 店で引き渡すにせよ、見習い冒険者が来ていたりサノスが居る時間は避けたい。

 なので明日中に渡すのは難しいな。


 店にヘルヤさんを呼んで渡さず、俺自身がヘルヤさんの宿へ持って行くか?

 いや、人目に着くところでの引渡しは避けたいから、やはり店までヘルヤさんに来てもらおう。

 明日はダメだと記して、明後日にサノスに買い物に行かせて、サノスが不在での引き渡しを計画しよう。


⋯ ギルマスと『魔法円』の話をする

 多分だが東国あずまこくからの使節団の仮住まいに関わる家庭用の『魔法円』の調達の話だろう。

 ギルマスから話を聞いてみないと、今の段階では何も出来ないな。


■イルデパンの依頼はどうするか?


 これが一番の悩みだな。

 西町幹部駐兵署にしまちかんぶちゅうへいしょに出向くか?


 いや、今は決めるのはやめよう。

 明日、教会とギルドを終えて、時間があるようならイルデパンを訪ねよう。

 証言を取られたりするのは、正直に言って面倒臭い。

 俺としては、魔道具屋の主がどんな罪状だろうと知ったことではない。


 俺や周辺に被害が及ぶならば考えもするが、基本的には、俺の今の生活に影響が無ければ放置して行こう。



 明日の予定も固まったので、ダンジョウから預かった空の『オークの魔石』への魔素充填を済ませた。


 今日の夕食を考えた時に、風呂屋へ行く誘惑も湧いてきたが、氷冷蔵庫に昼の残りを確認してこらえた。

 誘惑を堪え氷冷蔵庫を開けたついでに、氷も『製氷の魔法円』で作り直すなどして、風呂屋⇒大衆食堂の誘惑をふりきった。


 サノスが完成させた『湯沸かしの魔法円』で昼の残りのミネストローネを温めて夕食を済ませ、洗い物も済ませてお茶の時間となった。


 ダンジョウから貰った茶道具を机の上に広げる。

 続いて『水出しの魔法円』と『湯沸かしの魔法円』を台所から持ってきて並べ、しばし考えた。


 机の上が狭いな


 やはりサノスにもう一枚『湯出しの魔法円』を描かせようと心に決めた。


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