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勇者の魔石を求めて  作者: 圭太朗
王国歴622年5月16日(月)

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4-14 彼女はこの街に住むそうです


 その後、切り分けたバケットサンドと、サノスの温め直したトリッパを三人で分け合い、昼食となった。

 三人で昼食を取りながら他愛ない話をする。


「そうだ、サノス。さっき、サノスの客が来たぞ。サノスが戻る直前だ」


「何個、買って行きました?」


「残ってた全部だな。そうそう、面白い話を聞いたぞ」


「何です?」


「あのハーブティーの種だが、二日酔いに効くそうだ。そうだ、ヘルヤさんは二日酔いの経験ってあります?」


「ハハハ ドワーフあるあるだな。その話は他の種族と酒を交わすと必ず出てくるよ」


「ドワーフでも二日酔いになるんですか?」


 俺のフリにヘルヤさんが応え、サノスが興味深そうに聞いてくる。


「安心しろ。ドワーフでも酒に酔うし二日酔いにもなるぞ。祖父などは納品の翌日は呑み過ぎて決まったように二日酔いだハハハ(笑」


「へぇ~ ドワーフでもなるんですね」


「サノスも来年には経験するかもな?(笑」


 俺が茶化すとサノスが渋い顔を見せる。


「イチノス殿、サノスさんは未成年だろ。酒の話を聞かせるのは早いと思うぞ」


「う~ん。どうなんだサノス?」


 俺は以前にサノスが大衆食堂で働いていたのを思い出し、サノスに聞いてみる。


「ヘルヤさん、前にも話しましたけど私は大衆食堂で働いてたんです。だらしない大人が大酒を呑むのをよく見てました」


「だ、そうですよ。ヘルヤさん(笑」


「ハハハ これは失礼した(笑」


 そんな話を重ねて昼食を済ませ、食後のお茶を楽しむことにした。

 サノスが洗い物を下げ、いそいそとお茶の準備をする。

 その様子を見ながらヘルヤさんが聞いてきた。


「イチノス殿、サノスさんは内弟子なのか?」


 なんでこう、あっさりと聞いてくる奴が多いんだ? 


「いや、通いだよ。ヘルヤさんの所は内弟子が多いのか?」


「ドワーフは内弟子が当たり前だな。私の祖母が彫金師でそこに弟子入りしたのが人間の父なんだ。結局、同じ彫金師の母と一緒になって私が生まれたというわけだ」


「ヘルヤさんの祖父は鎧作りの名手ですよね。祖母が彫金師で母上も父上も彫金師ですか?」


「ああ、どうも祖父が頑固でな⋯ そっちの跡継ぎが育たんようだ。兄に継がせたかったようだが⋯ 何の因果か兄は冒険者を目指してしまったんだよ」


 なるほど、ギルマスの話のとおりだ。


「ヘルヤさん、どうぞ」


 そう言ってサノスが緑茶やぶきたを淹れて俺にも出してくれる。


「そうだ、師匠。あの魔道具屋が捕まったそうですよ」


 サノスの言葉を聞き、俺はヘルヤさんに目配せする。

 それに気づいたヘルヤさんが軽く頷いてくれた。


「ついに捕まったか(笑」


「何でも、前から街兵士が調べてたんですって。まあ以前から怪しかったですからね」


「サノスさんは、その捕まったという魔道具屋を知ってるのか?」


「ええ。師匠、ヘルヤさんに話してもいいですか?」


「まあ、好きにしてよいよ」


 俺が返事をすると、堰を切ったようにサノスが魔道具屋の悪口を並べ始めた。

 ヘルヤさんにも伝えた、俺と魔素充填の件でもめた話や、チンピラに絡まれた話も当然のように出てきた。

 サノスの話をヘルヤさんは笑顔で聞いてくれている。


 そんな話をしている中で、サノスがヘルヤさんに尋ねた。


「ヘルヤさんは、いつまでこの街にいられるんですか?」


「おお、それなんだが居を構えたいんだよ。サノスさんのお勧めはあるかな?」


 えっ? 

 ヘルヤさん、この街に住むの? 

 一瞬、俺が驚くと二人が俺を見てきた。


「師匠、何を驚いてるんですか?」


「イチノス殿、私が住んでは迷惑か(笑」


「いや、迷惑とかじゃなくて、ヘルヤさんは自分の工房に戻る予定だと思っただけです」


 そこでヘルヤさんが何か目配せをしてきた。

 何だろうと思っていると、ヘルヤさんが小声で呟いてきた。


(フェリス様⋯)


 フェリス? 母の名が何で出るんだ?


「フェリス様? ヘルヤさんはフェリス様とお知り合いなんですか?」


 ヘルヤさんの呟きが聞こえたのか、サノスまでもがフェリスの名を口にする。


「師匠、師匠のお母さんとヘルヤさんは知り合いなんですって」


 サノス、あっさりとそう言うことを口にするな。


「なんだ、サノスさんもイチノス殿の母上のフェリス様をご存じか?」


「ヘルヤさん、ちょっと待ってください」


 俺はそこでコンラッドの言葉を思い出した。


〉ホルデヘルク氏を介して

〉ドワーフの持つ研磨技術が


「ドワーフの研磨技術⋯」


「おお、イチノス殿もご存じか。それなら話が早い。この街で職人を育てる予定なのだ」


 待て待て。

 コンラッドが口にした『ホルデヘルク氏』とはヘルヤさんの事か? 


「実はな、この街の領主のウィリアム様と祖父が話し合って、我々ドワーフの持つ研磨技術を提供することになったのだ」


「研磨技術?」


 サノスが問い掛けるように口にする。


「鎧等の金属を磨く方法だよ」


「あぁ、何となくわかります。あれって凄いですよね。ピカピカに磨いて鏡みたいになるんですよね」


「そうだ。金属だけじゃなくて石も磨ける。水晶とか翡翠とかも磨けるんだ」


 ヘルヤさん。

 『石』とか口にしたら危険だと思いますよ。


「ヘルヤさん、ヘルヤさん。それって『魔石』も磨けます?」


「『魔石』は以前に磨いたことがあるぞ」


「いや『魔石』よりも『魔骨石まこっせき』が良いかな?」


「おう、大抵のものは磨けるぞ」


「ししょう~ ヘルヤさんに頼んでオークの牙を磨いて、魔素を充填して店で売りましょう。あれなら父の日のプレゼントに良いと思うんです(フンスッ」


 サノス。

 その右手の握りこぶしの意味を教えてくれ。


「『魔牙』=マキバ⋯ いや『マガ』の名前で売り出しましょう!」


 サノス。

 何だかマガマガしい名前だぞ。


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