表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイスペ社員、愛を乞う  作者: 印原めぐみ
2/5

独白 side光莉

 あなたはいつだってキラキラしていて、私には眩しすぎるくらいだった。


 あなたの艶のある声が、あなたのちょっとした仕草が、あなたが微笑む顔が、そしてあなたが私に触れる手が。

 あなたの全てが私の心を高鳴らせた。


 モデルかと思うようなスッキリ整った顔で、背も高くて、あなたの周りにはいつも華やかな人たちがいて。最初は絶対近寄ってはいけない人だと思ってた。

 でも、一緒に仕事をするようになって、誰にでも親切で分け隔てなく、敬意を持って接することができる人だと知った。


 パーフェクトなのかと思いきや、意外にも朝が弱くて、コピー機の取り扱いが苦手なんて可愛い一面もあって。

 そんな所見せられちゃって、「堺さんがいてくれてホント助かる」なんて恥ずかしそうに言われたら、こんな私でも意識してしまうよ。


 あなたの意外な一面を知って、少しずつあなたのプライベートを知って、私の週末の過ごし方を話すようになった頃、あなたは「好きだ」と言ってくれた。

 揶揄われてるのかという考えが頭の片隅をよぎったけれど、あなたの表情を見たら、すぐ本気なんだって分かったよ。


 ファストファッションのような、良くも悪くもなく、どこかで見たような、でも特に印象に残らない私なんかを、あなたは大切だと言ってくれた。

 あなたが大事にしてくれるから、私は生まれて初めて、自分を好きになることができた。

 こんな私でも、あなたに必要とされているって、そんな烏滸がましい気持ちすら抱いていた。


 それが私の独りよがりだっていうことに、気づくのが遅くなってごめんなさい。あなたはそんな様子、ちっとも見せてくれなかったから。

 いつも私を宝物のように大切にしてくれていたから、私、それに甘えてしまっていたの。


 最初に違和感を感じた時に、ちゃんと話せばよかった。もっと早くあなたの本当に気づいてあげられればよかった。そしたらすぐにあなたを解放してあげられたのに。

 ごめんなさい、昴さん。

 あなたのことを想うあまり、あなたのことが見えなくなっていたの。


 あなたの元を離れて数ヶ月経って、ようやく少しずつあなたとの日々を思い出すことができてるよ。

 辛くて…辛くて…、覚悟はしていたけれど、そんなもの何の役にも立たないくらい辛くて。

 もちろん今だって心臓がギュッてなるけど、でもあなたとの思い出を、これ以上無理に仕舞い込んでおくのも、もう限界なの。


 これからは、あなたとの記憶と生きていく。

 あなたはいつだって、私は私のままでいいって言ってくれていた。それならあなたを好きなままでいていいよね?

 苦しくても、あなたとの大切な日々を忘れるフリなんてできないから。

 背筋を伸ばして、顔を上げて。

 あなたのことを想いながら、前に進んで行かなくちゃ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ