6.飛び出す
その時部屋に響き渡るノックの音。結瑠以外の全員が仮装パーティーにでも行くのかというような仮面をつけたのを見てから、正面の男が少しくぐもった声で入室を許可する。
入ってきたのは白髪の女の子だった。小学生だろうか?全体的な発育が未熟な体つきをしているがかなりの美少女だ。真っ白な肌にはシミ一つなく小ぶりな鼻と口、大きな赤交じりの黒目には長いまつ毛がはえている。
髪は新雪のように真っ白でサラサラしていて、背中を覆い隠すほど長い。小さく可憐な様はまるで妖精のようだった。
「高等部、1年、ソフィア・・・です。」
そういってペコリと頭を下げる。まだボーっとしたままの結瑠を置いて話が進む。
「よく来たなソフィア君。それでお願いした件は受けてくれるね?」
「・・・はい。」
「よし。ソフィア君。そこで君に見惚れているのが我々の弟子である結瑠だ。結瑠!見惚れてないで自己紹介位したらどうだ?」
「見、見惚れてなんていませんよ!ゴホン・・・今年から高等部1年に入る淡田結瑠だ。よろしく。」
真っ赤になりながら声を出す結瑠。セブンスの面々は授業参観に参加した親のようにコソコソ内緒話をしていて、それも結瑠には恥ずかしかった。更に言えば見惚れられているソフィアも少しばかり頬に朱が差していて、それも師匠ズの話の種になっている。
頬を染めたままソフィアが結瑠を見て、口を開く。その声は高く透き通った声色だがか細く震えていた。
「よろしくね、結瑠君。・・・えっと、それで・・・うぅ。・・・1年Fクラスの・・・クラス長を・・・任されてる・・・ソフィアです。・・・今から・・・案内、するね?」
そういって上目使い+首を傾けたソフィアに再び見惚れる結瑠。
「はぁ・・・。ソフィア君、頼んだよ。」
「承りました。・・・理事長。」
そういってドアではなく窓際に向かうソフィア。そのままカーテンを開け窓を全開にして窓枠に足を掛ける。セブンスの面々を見ると全員が頷いていた。
「結瑠君、ついてこないなら・・・置いていくよ?」
そのままソフィアは窓の外に身を投げ出した。